ネット広告の効果指標の多様化 その1


 インターネットの黎明期には、バナー広告へのクリック率は1~2%はざらにあった。企業の情報システム管理者向けにUNIX配信などすると、15%以上あったこともある。その後リッチメディアが登場し、再度CTRを上げる効果を生んだが、またしてもCTRそのものはネット広告全量において、落ちてきたと云える。これはある意味オンラインユーザーが成熟すると仕方ないことである。ただの閲覧行為がほとんどだった時代から、自ら情報発信していくようなメディア接触態度、行動へ進化している。またパーソナライズ志向も深化している。だからCTRが落ちたからと云ってネット広告そのものの効果も落ちているとは云えない。

 ネット広告フォーマットも「ディスプレイ広告」とあえて呼ぶように、その表現力を高め、本来の広告効果をアピールしている。インタラクションを組み込んだ広告クリエイティブも多用されている。そんな中で、従来の広告表示回数(インプレッション数)とクリック数、クリック率をもって効果指標とすることの限界が来ている。

 ネット広告に誘導効果だけを期待して、企業サイトのコンテンツにアクションしてもらうことと目標にしていたころと違って、環境として高いCTRが望めないのであれば、広告表現の中で、今まで企業サイトでやっていた内容に近い表現、コンテンツ展開をしてしまおうという流れがある。キャンペーンサイトに行かなくてもユーザーにクライアントコンテンツを提供できるリッチメディアが登場している。

 この場合、広告クリエイティブはインタラクションによって選択的に様々な情報に触れることができる「奥行きのある表現」になっていることが多い。当然クリック率以前に、オンマウスによるインタラクション率をカウントすべきである。

 またインタラクションしている時間や、動画再生時間、再生回数なども指標になる。

 特に企業サイトに訪問させての会員登録や商品購買などのアクイジションが目的でない場合、ネット広告の目的と表現力の多様化に合わせて、効果指標も多様化するのである。

 その2 に続く