原理やメカニズムの効用を享受しようとしない日本人


 日本人の神経は実にきめ細かい。これはこの国の美学でもあり、尊ぶべきメンタリティである。ビジネスでも海外のネットメディアのバイイングをすると良く分かるが、彼らは実に大雑把だ。悪い言い方をすると杜撰でさえある。
 しかし逆に云うと、日本人は細かすぎる。というか、細かな対応力で何でも解決しようとする性格があり、大きな原理原則を使うこと、放っておいても仕組みが機能して期待する方向に物事を動かすことがヘタである。


 そうした傾向が一番大きくでているのが政治である。政権を交代させて、しがらみや癒着を断ち、政権にいる者にいつでも選挙で下野させられるか分からない緊張感を与え、政治家が本気で官僚をコントロールしようとする仕組みが、政権交代である。
 にもかかわらず、日本人はあまりこのメカニズムの効用が理解できない。しっかり使ってみたことがないのが最大の原因ではある。

 要するに、極端な言い方とすれば、民主党に政権担当能力がなくても(そもそも担当させなければ能力は育たない。)政権交代させることに意味がある。最低3~4年やらせて、ダメならまた代える。代わることで、比較的良い方向に動かす仕組みだ。日本人は人を代えることには敏感だが、集団としての政権を代えることの効用に疎い。
 テレビで街頭インタビューすると、民主党も元自民党の人ばかりで代わり映えしないとか、やはり人ばかり見ている。個人を代えることで得られる効果に限界があるのは、もう誰もが分かっているはずだ。仕組みができているのだから、何故使わないのか。日本人自身の器量が試されている。