1年を振り返って


「業界人間ベム」を今年1月から始めて1年経った。
年初と今では景況感が天地ほど違う。しかしかなり前から地殻変動が起きていたマス広告の地盤沈下は、この大不況によって決定的なものになるかも知れない。これまで本気ではなかったマス王道にいた人たちもさすがにお尻に火が付くだろう。とはいえ、デジタルのビジネス感覚を培っていなかった者が簡単に対応できるほど甘くはない。確立したビジネスモデルでしかやったことがない人間には荷が重いかもしれない。

さて、不況だ不況だというわりには、マスメディアが報道しないところでは利益がでている企業もある。今年の年央にかけて原材料の高騰にさらされて何とかかんとか売価を上げられた企業は、今輸入原材料の価格下げと円高の恩恵に預かっているはずだ。全部が全部大不況ではない。トヨタまでが・・というセンセーショナルな報道に全体が完全にシュリンクしているように感じるが、実は「儲かってるけど、黙ってようっと」という企業はけっこうある。

 インターネット広告は来年もその市場のなかで大きく動いていくだろう。従来のマス広告は様々な広告手法がいったん確立すると、新しいものもその上に積み上がって成長してきた、しかしネット分野はいったん市場を形成した広告スタイルや媒体社(ビークル)が3年程度で姿を消すことが常識だ。ネット広告全体は右肩上がりでも、その中身はたいへんな変遷をしている。常に激動していて一瞬たりとも油断がならない市場だ。
 しかし今回の不況は、企業のマーケティング体制の見直しに貢献するかもしれない。
今はブランドごとに、そのブランドの販促予算のなかでWebを使ったプロモーション施策をとっている。だからインタラクティブ活動の施策のスケールが小さい。企業はブランド横断的にデジタル&インタラクティブマーケティングにコストを注入できる体制や仕組みを用意すべきだ。
 こうした体制が実現してくると、ネットモバイルへかなり大きなマーケティング予算が流入してくるだろう。
 ただそこには、ビジネスプロセスに対するコンサルから、マーケティングコンサル、コミュニケーションプランニング、キャンペーンオペレーションとフィーに変換する要素が多くある。ここを従来の広告代理店モデルで稼ごうとしてもうまくいかない可能性がある。いずれにしてもスキルのある人材をクライアントが買うイメージが強くなるだろう。
 
 おそらく2009年はデジタルインタラクティブ領域のシェアが相当上がるだろう。絶対額の伸びはそう大したものではないかしれないが、本当に存在感のあるシェアになる年だと思う。そこに意味がある。