「国語こそ競争力の源」に強く同意する。


 日経ビジネスの最新号の編集長インタビュー、作家の水村美苗さんの「国語こそ競争力の源」という記事に感銘を覚えた。
 そういえば、大学で英米文学科だった私は、就職活動で採用面接に行ったある会社で、「米文学を専攻して何が分かったか。」という問いに、「逆に近代日本文学の質の素晴らしさが分かりました。」と答えたことを思い出した。こう言っては何だが、アメリカ文学といっても原型はほとんど聖書にある。成熟した文化の上に、様々な人間の機微が行間にまで散りばめられる日本文学と比べるべくもない。
 
 ビジネスの世界では確かに英語力の差が、ビジネス展開力の差として日本の競争力を弱めているのは事実だ。外資メディアのカンファレンスに参加した経験からすると、こういう場ではアジア系も南米の人も、とにかく日本人以外はすべての参加者が英語を操る。日本では特に広告・メディアなどの情報産業系の人材に英語力が足りない。こうした状況が「except Japan」といった日本の孤立を生むひとつの原因でもあろう。
 
 しかし、このインタビュー記事にあるように、「日本の科学者の発見も、日本語で考えたことが大きい。英語と違う世界観が大事。」という氏の言うとおり、逆に本質的な日本の競争力のためには日本語思考によるに日本的発想や日本的ホスピタリティが物づくりだけでなくサービス業においても国際競争力をもつと思う。
 氏の言うように、英語は中学からにして、しっかり日本語教育の基礎を再構築することと、一方で優れたバイリンガルの育成に注力することだろう。
 とにかく水村氏の『日本語が亡びる時』をすぐ読んでみよう。