広告ビジネスの構造変化


広告業のビジネスモデル変化については、いろんなところで語られている。このブログでも「広告業の将来」のエントリーで一部このことに触れた。メディア扱いによるマージンに頼る事業モデルはどんどん危うくなる。そうしたことも含め、広告業に起こっている構造変化は次のふたつの図で表すことができる。

 ひとつは、「広告ビジネスのど真ん中が小さくなり、周辺が拡大する」ということ。「TVCMをつくり、テレビスポットや番組枠を買い、新聞や雑誌、SP施策を組み合わせてキャンペーンを張る。」といった広告らしい仕事は少なくなり、広告なんだか良く分からない仕事が増える。広告周辺というところには、もちろん広告業ではないプレイヤーたちの領域でもある。しかしそれらを広告マーケティングの知見をもって企画実施するかどうかでの価値は違う。

 領域が被るということでは、ひとつ目の概念図のような状況が起きる。起きるというかもう既に起きている。

 広告会社も多様な機能を求められ、情報サービス関連企業のすべてが潜在市場となり、すべてが競合ともなる。

 昨年のNYアドテックでWWPマーティン・ソレル氏の基調講演内容として、彼が言っている「広告業が進むべき道」は、いずれも広告業界にはリソースがないことばかりだ。そうした領域には既に専門プレイヤーはいる訳で、広告業には基本知見がない。

 広告会社が提携を進めるべきは、こうしたこれからどんどん領域が被るが、もともと知見のない領域とのパートナーとだ。もう広告会社同士が組む意味はあまりない。シュリンクする市場同士が組んでも意味はない。