アドエクスチェンジとDSP


 従来日本にはなかった本格的なアドエクスチャンジが始動することになった。プレイヤーはヤフージャパンである。アドエクスチャンジとはネット広告のセリングサイドとバイイングサイドが、入札によって売り買いを成立させる市場といえる。
 リスティングの入札も近いものがあったが、アドネットワークに参加する多くの媒体社が「CPMがいくらならOK」というかたちで、アドエクスチャンジに登録し、バイイングサイドの入札とのマッチングが図られる。需給状況で価格が変動するわけで、売買がよりリアルタイム化する。
 現状、日本のネット広告のCPMはアメリカの1/2~1/3である。これはCPC、CPA偏重で、しかもCPAをクリックベースでしかカウントしないことによる弊害ともいえる。クリックベースのCPAだけをカウントして、それに見合うCPMで広告を買いたいということになると、少なくともポストインプレッション効果は無視される。
 アメリカのデータではあるが、広告のクリックは減少傾向にある。2009年時点では、インターネットユーザーの約8%のユーザーがクリック全体の85%を生み出している。一方、インプレッションによる広告主サイトへの訪問者数は伸びている。広告レスポンスの仕方が変化している。こうしたなかで、クリックベースだけで広告のパフォーマンスを図る限界は既に来ている。
 
 さて、数年前までは私も、日本のネット広告もずいぶんアメリカに近づいたかなとの感をもっていたが、現状はまた引き離されたと言ってよいと思う。モバイルには一日の長があるが、それもオープン環境になったら、日本のアドバンテージはほとんどない。
 またアメリカに先を行かれているなと感じるのが、実はアドネットワークや、今日のテーマのアドエクスチェンジ、そして、DSP(デマンドサイドプラットホーム)というやつだ。デマンドサイドというのは要するにバイイングサイド(広告主側)ということで、広告主側の求める効果を最大化するための仕組みである。
 特に広告効果の高い対象ブラウザを選び、効果的な配信を、効率的にアドエクスチェンジから買い付けて配信することが、この仕組みの価値である。もちろん広告主サイトのなかにタグが貼られ、常にパフォーマンスは評価されつつ広告配信の最適化がなされる。当然クリエイティブの最適化も含むオプティマイザーである。
 こういう事業者が知らないうちにどんどん出て来ている。

日本もアドネットワーク、アドエクスチェンジ、第三者配信、DSPという進化が訪れるのか、おそらくモバイルのオープン化現象がそれを促進するだろうが、準備は必要だ。