このブログでもいろいろな視点で、「広告ビジネスの構造変化」を書いてみた。広告会社の進化は、スペースブローカーから発して、広告スペースを買ってもらうために、周辺のソフトサービスを提供するスキルを磨いてきたというものだ。特にテレビ広告のタイム・スポットを買ってもらうために、マーケティング調査、クリエイティブ提案、連動したプロモーション施策などを提供してきたのだ。
しかし、「買うメディア」はマーケティングメディアのひとつになろうとしている。従来の広告活動においては広告メディアを買って、コミュニケーション、プロモーションを行なうことがほとんどすべてだったが、そうした時代は終焉しつつある。
しかも、「買うメディア」以外に急激に台頭する「所有するメディア」「評判を得る(ソーシャル)メディア」は、いずれも広告会社に知見が乏しいものだ。企業の自社メディアに至っては、全く広告主に太刀打ちできない。
つまり広告会社に訊かないと分からない世界は、広告マーケティングにおいて3つのうちのひとつになってしまったのだ。
さらに、その「買うメディア」でさえ、様々な広告プラットフォームの出現で、中抜きに合う可能性が非常に大きい。広告主はオンラインで直に買える。代理店に任せたとしても、それは単に面倒臭いからアウトソースするだけで、そういう付加価値は極めて低い。
さらにさらに、広告会社以外にも広告マーケティングのプレイヤーが増える。今まで広告会社、システム会社、戦略コンサル会社、調査会社などの領域ははっきりしていたが、これらの領域がオーバーラップしてきている。ネット広告専業会社が台頭したように、新たな参入組は今後も増えるだろう。
今の広告会社の仕事には、様々な付加価値の仕事が同居している。コンサルティング(これはほとんど出来ていないが・・・)、プランニング、オペレーションなどだが、これらを同一の給与体系で行なうのはすでに無理がある。またこのネット時代にオペレーションを東京のど真ん中でやらなきゃいけない理由はない。とはいえワンストップでこうしたサービスを行なう価値は高い。いずれにしても根本的なリストラクチャーが必要なのである。
・今の社員の知見の及ぶ範囲が、基本「買うメディア」だけである。
・「買うメディア」も広告プラットフォームで広告主が直で買う。
・領域がオーバーラップして競合するプレイヤーが増える。
基本、この3つが「広告会社が直面する試練」である。そしてもちろん最大の敵は、今の経営幹部が未だに持っているマス広告での成功体験であることは言うもでもない。
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