ハウスエージェンシーの新たな役割と存在意義


 リスティング広告やDSPによるディスプレイ広告を、ブランドごとにAE代理店に発注していると、同じ会社内でキーワードやクッキーを競争入札して買い上げてしまうという何とも間抜けな現象を起こす。したがって、入札運用型広告はブランド横断的な買い付けをしなければならない。

 
 米国では大企業を中心に、DMPや入札運用型広告のインハウス化が進んでいる。
インハウスと言っても、導入にはエージェンシーからコンサルが入ったり、オペレーションのサポートが入る。
 グローバルエージェンシーのすごいところは、グループ内のメディアエージェンシーのビジネスを破壊するようなコンサルをやっているところだ。日本ではなかなか考えられないが、まあ海外のメガエージェンシーではメディアのマージンというビジネスモデルは既にマイナーだから、将来を見据えてのことだろう。

 それはともかく、欧米には日本のようなハウスエージェンシーはあまりないようだ。
 
 しかし、ここに来て前述したように、ブランド横断的に入札運用型広告を担当するには、完全にクライアントを代理する立場のハウスエージェンシーということになる。

 逆に言うと、ハウスエージェンシーがこの機能を果たせないとするなら、そもそも存在意味はない。
 生き残る最後のチャンスは、プライベートDMPや3PASの運営及び入札運用型広告のオペレーションを一手に担って、欧米のようなインハウスDMP/DSP機能を果たすことだ。



 日本企業は社内に横断的組織をつくることが下手だ。新たな機能は、どこの部門の傘下にいれるかで綱引きが起こり、うまくいかないことが多い。そのためには社内の各組織と完全に等距離となるように機能分社することのほうが早い場合がある。
 
 その意味で、新たなハウスエージェンシー設立議論は起きてきても不思議ではない。
どういうスキルと人材、組織を集合させてつくるべきか、また既存のハウスエージェンシーのサバイバル戦略については、そして、そもそも旧態の広告代理店の革新のための経営コンサルにおいては、おそらくベムに最も知見があると思う。ご相談あれ。w