Youtubeでビデオ投稿者に広告収入をもたらすエコシステムが出来たことで、MCN(マルチチャンネルネットワーク)という業態が成立している。音楽のVEVO、ゲームのMachinima、パフォーマーを束ねているFullscrennなどだ。
https://www.machinima.com/
http://www.fullscreen.com/
私がMCNに注目したのはディズニーがMCNの大手「メーカースタジオ」を950億円で買収したことがきっかけだ。
http://www.makerstudios.com/
普通に考えると、何でわざわざディズニーのようなコンテンツ企業がこんなオンラインビデオのクリエイティブ会社を買うんだろうという疑問が残る。しかしどうやら「メーカースタジオ」の価値は、チャンネルというかたちで囲い込んである視聴者と、テクノロジーをもった企業であることが分かる。
どうやらメディア企業と広告主企業という従来の広告のセルサイド、バイサイドという話ではなくなっているようだ。マーケティングコンテンツ(あえてマーケティングメディアという言い方はしないで書こう。)つまり自社ブランドをオンライン(例:ユーチューブ上)に最適化することが求められており、そのための技術、人材、クリエーター、専門知識等は、コンテンツ企業であるディズニーでさえテレビ事業の延長ではなく(ABCはディズニーの傘下)全くの外部の取込が必要だったのだ。やはり文化が違うという考え方もあるが、事情は日本とはかなり違う。映像コンテンツクリエータ(映画を中心にエンターテイメント産業)の裾野は広く、そもそも放送事業もハードとソフトは分離している。オンライン発の映像クリエイティブ文化はすでに萌芽している。
一方、日本でTV局のオンライン動画コンテンツへの対応を見てみると、まず自社でやろうとすると放送番組との収入の差があり過ぎて本格化しない。しかし放送収入と同じスケールにまで成長するまで手が出せないとしたら、(そもそも同じモデルの中で考えているなら)オンラインでのビデオコンテンツプライヤーの主役たちのなかにはテレビ局はいないということになるだろう。
YouTubeによって確立したエコシステムに順応してクリエーターが次々と世に出てくる。ユーチューバーをマネージメントで囲い込む業態は出てきているが、もっと踏み込んでチャンネル化を進める業態が日本にも出てくるかどうか。期待も高まる。
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