「予算がプランを決める」からの脱却を


「新世代デジタルマーケティング」にはこんなこと書いてますシリーズ (その1) です。

 アロケーションというキーワードはここ数年で、広告やマーケティング業界で定着した感がある。「割り当て」ということだから、ほぼ予算配分ということになるのだろう。

 広告の世界では、「予算がプランを決める」という性格が強く、例えば「2億くらいないとテレビ出来ないよね」とか、いずれにしても大きなコストがかかるテレビをやるかどうかからスタートしてプランニングされているのは事実だろう。ある種の「お買い物ゲーム」である。(昔「がっちり買いましょう!」という番組があって、大物を買ってから数字合わせのための商品があったのを憶えている。)

 その発想に引きづられると、「ではオンライン広告はテレビに対して15%ね・・・」とか、そんな決め方になる。
 しかしよく考えてほしいのだが、例えば2億の予算で15%の3000万をオンラインに使うとして、その使い方は無数にある。マスメディアとは違う。誰にターゲットして配信するのか、どんなフォーマットで、どんな効果を目的にするのか、つまり、配信設計、KPI設定、目標数値設定、効果捕捉手段、入札運用型であればオペレーション方針、そういうことが決まらないといけない。まず決めるべきはそうしたプランだよね。
 もちろん予算はないと困るが、そもそもKPIの達成目標が設定できないで、予算だけ決まるのはおかしくないでしょうか?

 広告をもう少し「投資」として考えるなら、バイイングコントロールをする宣伝部は、ファンドマネージャーのようなもので、事業部からお金を預かって、それを特定のマーケティングのパフォーマンスにしてみせるプロにならないといけない。この時、ファンドマネージャーであれば、効率の悪いものを買ってしまったら、ずるずる持っていないで「損切り」する。また目標のパフォーマンスを獲得したら、予算は余らせる。そういうものである。

 予算を使い切ることが前提ではない。

マーケティング目標を達成するが前提である

「今回のキャンペーンの目標は『ターゲット○○○万人にリーチさせること』であり、『ターゲットに○○○○万インプレッション接触させること』であり、『ターゲット認知を○○%まで到達さえること』である。」と目標設定できないキャンペーンであってはいけない。

「予算化でスタートして、予算で出来ることというプランニングをして、プランどおりに執行して、終わってから効果があったか調査してみる。」こういうの、もうやめましょう。

 そもそも終わってから調査したって、もう終わってるんだから何も「打ち手」に繋がらない。キャンペーンを始める前からずっと自社ブランドと競合のKPIをリアルタイムで捕捉していないといけないのであって、キャンペーンはそのKPIの目標値を設定して、達成させるためにある。それも競合という相手のあることなのだから、目標は常に相対的なものでもある。

 だからこそ「運用型」のマーケティング施策の実行スタイルが必要になる。

 事前にベストなプランなど決まらない。

 運用でベストにするのだ。