デジタルインテリジェンスからGAP「グロス・アテンション・ポイント」の測定と指標化について昨日リリースした。
テレビ画面注視率(アテンション・インデックス)をその投下CMすべてにおいて他仕上げた数値と言ったらいいだろうか。GRPと相当する注視率総計である。
ベムは昨年から「視聴質」の測定や分析にトライしてきたが、極めて大きな金額が動くテレビ広告の世界を「最適化」する仕組みの構築を考えると、テレビCMの本当の効果をリアルタイムで把握して、リアルタイムの「打ち手」に繋げることに価値があると確信している。
CMクリエイティブの「視聴質」を個別に測定、データ化して「最適化」の材料にしていこうという試みも重要だが、結局「テレビCMの本当の効果」とは、ターゲット(誰が)、タイミング(いつ:時期・曜日・時間帯)、どんなコンテンツと(どんな番組に挿入して)、どのくらい(量:GRP)というメディアプランニングの変数に、クリエイティブ力という変数を掛け算した結果である。
「誰が」はブランド側としてはターゲットが明確でないといけないので、ここが変数として揺らいではいけないが、その他の変数を掛け合わせた結果としての「本当の効果」をリアルタイムにしかも競合ブランドのそれとの比較において、把握することの意味は大きいと思う。
下記のグラフは、同一カテゴリーの商品の2つのブランドが、同時期にほぼ同量のGRPを投下したアクチャルGRPとそれぞれのGAPを示している。
GRPが同量に関わらず、いわゆるアテンション率総量(GAP)は30%も相違がある。
原因としては、クリエイティブ力の差が出たということになる可能性がある。
もし、GRPは変わらないのに、GAPが落ち込んできたら、クリエイティブ素材の賞味期限が切れてきているので、素材差し替えをした方がいいということになるだろう。それも競合と比較してということも重要な要素である。
マーケティングはある意味競合ブランドとの戦いでもある。「相手のあること」なのだ。ただ自社ブランドのキャンペーンが事前のプランどおりに執行すれば、目標が達成されるというものではない。そもそも一定以上のGRP投下を考えると、多くのブランドは適正量を超えている場合もあり、それでもやるのは競合ブランドよりサウンド量を大きくするためである。
そこで競合との「戦い」ということでは、相手の状況をしっかり把握して、自社の「打ち手」を講じなければならない。「敵」を知り、「己」を知るということだ。
相手の「山」に敢えてぶつけるのか、相手の「谷」につけ込むのか、同じ量、同じコストを使ってもどんなタイミングで投下するかは、常に「相手のあること」である以上、効果が違ってくる訳だ。
その意味で、ダッシュボード上に自社及び競合のGRPとGAPを並べてリアルタイム把握することに大きな価値がある。
さて、このGAPという指標、前述したように、メディアプランとクリエイティブ力の掛け算としての結果(実際の効果)と言える。
これは、ブランド力、クリエイティブ力という広告主側の責任による結果であるので、テレビ局にギャランティさせるものではない。
ベムは前回のブログにも書いたように、将来的には広告主がこうした実際の効果を把握しながら、適正な価格で、最適なポジションのスポット枠、番組枠を買い付けに行くという取引きが始まると思う。つまり入札応札による取引である。
GRPが「何発打ったか」で、GAPが「何発当たったか」だとして、両方をしっかり見て「手を打つ」というのが大きなコストをテレビCMにかける広告主に求められることだろう。予算化はあるものの、実際にどこにどの程度お金をかけて、最も大きな効果を生み出すかを「運用」で行うことが今後の発想である。
宣伝部は事業部からお金を預かって、最適なマーケティング効果にする(預かったお金をより大きな効果にする)ファンドマネージャーみたいなものである。株式を扱うファンドマネージャーは当然「損切り」をしてでも、売り買いして、最大化させる。同様に宣伝部も、「事前に最適なプランがあるのではなく、運用で最適にする」のだ。
「運用」型の広告発注の知見とデータを社内に一回は取り込んでおかなければならない理由である。そこにデジタル広告だけでなく、テレビのデータが入るのは当然であり、GAPはそのひとつになると思う。
詳細は、デジタルインテリジェンスにお問い合わせを。
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