TVerは「一気見」視聴を取り込め!


 アメリカではもう6~7年前から、C3、C7といったタイムシフト視聴を合算する指標があります。放送後3日後まで、または放送後7日まで入れましょうということだ。

 それがここきてなんとC35などという話が出てきた。
そのココロは、4週間分のドラマをまとめて「一気見する」からだそうだ。

 ベムも体験的に週末海外ドラマを「一気見」することが多い。面白くなると半日かけて「ハウス・オブ・カード」シーズン1全部観ちゃうとか・・。(全部画面を注視しなくてもいいので、最近吹き替えを選ぶことが多いのは「一気見」仕様といえる。長時間なのでコーヒー淹れにいきながらも音声でフォローできるからだ。)

 こういう視聴スタイルはベムのようなおじさん特有でもないだろう。特にテレビ端末で見るVOD型の番組視聴は、こうした視聴スタイルがすでにかなり広がっているだろう。スマホは隙間時間にいつでも入り込むが、テレビ画面では時間のある時に面白いコンテンツをじっくり連続して楽しみたいというわけだ。

  さて、「見逃し視聴」を取り込みたいということでスタートしたTVerが基本1週間分だけなのにはいろいろ「大人の事情」があるのは分かっている。

  しかし、どうせならこの「一気見」需要を取り込まない理由はない。
しっかりCMを見てもらえるTVerは、広告主が比較的長尺CMを試すいいチャンスになる広告枠だ。今後広告インベントリーがもっと増えてある種のターゲティング配信ができるようになると、15秒のCMより、もっと見込み客層に近い消費者へのメッセージとしのて長尺動画と位置付けてもいいだろうから、単なるアウェアネス狙いのターゲティングではなく、パーセプションフローの次のステップ狙いのコミュニケーションが長尺もので叶うかもしれない。
 ターゲティング配信できるくらいにインベントリーを増やす意味でも、「一気見」需要をとりこむべきではないだろうか。

 ベムは以前テレビ局での講演で、「『見逃し視聴』とおっしゃってますが、今の視聴者で本当に番組を「見逃した~」って思っている人はほとんどいませんからね・・。」と悪態ついてきたりしてました。テレビ局が視聴者に「あれっ?見逃しちゃったの?」という発想自体ナンセンスです。とっくの昔に編成権は視聴者のものであって、テレビ局の編成のものではありません。

 だから今の時代、小売り業がリアル店舗に客を取り戻そうとか、テレビ局がリアルタイム放送に視聴者を連れ戻そうとかいうこと自体、意味のある努力とは言えないのです。もちろんSNSで評判が広がってリアルタイム視聴が上がる例は昨今もあります。でもそれはSNSの力で寄与した関心はコンテンツに対してであって、リアルタイム視聴行動に対してではありません。もちろん放送しているのですから、その放送時間で見てもらえるようになることはありがたいことではありますが、いろんなコンテンツ視聴形態が用意できていればいいわけです。むりやり「リアルタイム視聴に」と考えずに、総体としてオーディエンスに届く、しかもセグメントされたターゲットに強く届く(またそれがレポートできる)方が価値が高いのです。

 ところでTVerではフジテレビさんはFODでのユーザー登録を促しますよね。ベムはもうあれが嫌で、そもそもTVerでCXを選びません。それに、デモグラデータを入力してもらってもほとんど意味はほとんどありません。全然アノイマス(匿名)でいいのです。
 そのユーザーがどんなコンテンツを選んでいるオーディエンスかがわかり、視聴しているコンテンツでセグメントできればいいのです。そもそも今までそれが出来てなったからです。

  ある視聴ログデータとサードパーティデータをつなげた見た事例では、50代の男性を、家に子供がいるグループ、もう独立して奥さんとふたりのグループ、単身の50代男性グループでは視聴番組がほとんど被っていません。つまり50代男性というセグメントは意味がないのです。
 M1とかF1とか、パネル数が少ないので比較的幅広い年齢区分になっていて、20歳と34歳を同じに括るとか、50以上は80過ぎまでひとくくりみたいなベムも噴飯もののデモグラセグメントでマーケティングできるんでしょうか?
 そういうデータしか取れないと思っていたから今までは仕方ないのですが、実は取りようはあるのでは?と考えてみましょう。コーヒーを1日4杯以上飲む人で括るとこの番組の視聴率は?とかね・・・。

 だから、100万人単位で、もしかすると今後は1000万人単位で視聴データが取れるかもしれないTVerにもっと視聴者をとりこむ努力が必要なのではないでしょうかね。ねえテレビ局さん。「一気見」対応しましょう。