このところ「日本語をしっかり勉強して正しく使おう」というテーマのテレビ番組(タモリのジャポニカロゴスとか・・・)が結構増えてたいへんいい傾向だと思っていましたが、正月番組では「新年明けましておめでとうございます。」と相変わらずやっています。「新年」は「年があらたまった、明けた」と云っているので、同じ意味を続けるのはいわゆる「馬から落ちて落馬した。」と同じ。間違った使い方です。
みのもんたなんかは、「世界一受けたい授業」の特別講師役で出てきて日本語の授業などと先生ぶるわりには「新年明けまして」とやっています。
ただ例年に比べるとずいぶん減ったかなという気がしました。少しはこの種の番組も貢献したかもしれません。
私も歳のせいか、テレビから聴こえてくる言葉の使い方で気になってしょうがないことが良くあります。まず「おめでとうございました。」と過去形にする例。「有難うございました。」までは話をしめるときは許せるものの、「おめでとう」という祝福の気持ちを、祝福している最中に過去形にするのは何故でしょうか!ウエイトレスに「・・・でよろしかったでしょうか。」とオーダー確認させられるのも、「何故に過去形にする!」と言いたくなります。
また若い人たちの何かにつけて「・・・の方(ほう)」というのも、昔あった「消防署の方から来ました。」と云って消火器を売りつける詐欺を思い出して気持ち悪いです。「の方」は全然いらないと思います。最近の若年層の言葉にはできるだけ断言を避けようとする感覚があるということを良く聞きますが、曖昧にする意味のない場合にも「・・方」をつけております。
さらに横文字用語を間違って使うといっそう恥ずかしいことになります。「何かをフューチャーする」と云う人がいますが、フューチャー(future)は「未来、将来」のこと、言いたいのはフィーチャー(feature)の方でしょう。いっぺんで教養がないのがバレバレですからこういう間違いはクライアントの前でしないことです。
横文字用語ということでは年配の人でも、モラルという言葉を、倫理観、道徳観のモラル(moral)と士気、勤労意欲のモラール(morale)を混同している人が多いです。モラルという言葉に倫理観も士気も意味があると勘違いしているようですが。これは全く別の言葉です。(モラールには最後にeがつく)私はモラルとモラールと書いて使い分けています。
広告業は「言葉」が商売の道具だけに、大事に扱わないといけない。自戒をこめて言うと、新しく概念定義しないといけないので横文字用語も随分多用、乱用しがちです(かく云う私が一番の乱用者です。反省しています。)が、それだけに間違った使い方には敏感に反応したい。このブログでは時々「広告マンの言葉学」もテーマにしようと思います。
0コメント