メディアと文化圏


 昔、「細うで繁盛記」というテレビドラマがあって、高視聴率を稼いでいた。
このドラマは伊豆熱川の温泉旅館が舞台なのだが、富士真奈美さん演ずるいじわる小姑の方言のセリフが評判になった。
 おかげで今だに静岡弁は「ずら」とか「にゃー」とか云うと思われている。

 私の故郷は静岡でも清水(ちびまるこちゃんの舞台)なのだが、
いわゆる駿河(富士川より西、天竜川より東)の言葉と、このドラマの伊豆の言葉は違う。逆に、私の郷里の言葉は、富士川を遡って、山梨や長野県の一部の言葉といっしょだ。静岡県だからといって、伊豆や浜松のものとは違う。

 基本的に言葉は人の交流(行き来)の集約単位で形成される。
その昔、今の静岡県中部の人たちは、富士川を下って木材を運んでくる甲斐や信濃のひとたちとの行き来(のぼりは海産物)が濃くあって、独特の言葉のイントネーションを共有していた。富士川(甲斐では釜無川)が言葉を共有する文化圏のもととなっていた。

 ところが現代では、メディアがこの文化圏を形成する。

伊豆地方には東京のキー局の電波が直接入る。関東キー局の天気予報の地図には静岡県でも伊豆半島だけが入っているのは皆さん気づいていますよね。
  
 これによって、静岡県でも伊豆地方はある意味東京文化圏だ。静岡でもまんなかの清水、静岡(合併しちゃったが)は静岡新聞が80%の駿河文化圏これが浜松にいくと中日新聞をとっているのが半分近い中京文化圏に入ってしまう。

 メディアによって、静岡県は3つの文化圏を構成している。

 そして、これが、インターネットになると、エリアを越えた文化圏(圏とは云わないか)を形成することになる。

 地域を越えた、趣味や嗜好、ビジネス志向を共有する者同士の一定のベクトルをもった集団である。ネット社会が、どういうマインドの共有を促すか興味深い。実ビジネスとして実るケースもどんどんでてくるだろう。
 次世代の広告ビジネスを志向するこのブログを読んでいただいている方々とも、こうしたマインド共有ができていくとうれしい。