日本の周波数行政



改正放送法のことは先日も触れたが、そもそも日本の放送行政は占領下のGHQの政策から始まる。戦時中大本営発表というかたちでラジオ放送を国家権力が独占して、真実を伝えなかった反省から、VHF帯というもっとも経済効率の良い周波数帯域を民間放送局に分け与えることになった。民間メディアを育成し、国家権力の牽制勢力として育成保護しようというのはアメリカの占領政策の一環であった。
こうした歴史的背景をもった放送行政で、日本のテレビ局は免許事業として、新規参入の極めて少ない最後の護送船団といわれるようになった。

そしてこのテレビに分け与えている周波数帯域が生み出している放送業界の市場と雇用(NHKを加えても2兆7000億程度、3万人に満たない雇用)は、その経済効果を考えると実にもったいないということを旧郵政省の優秀な役人たちは気づいた。周波数行政つまり周波数の配分を適正化することで新たな価値と経済効果(市場と雇用)を生むということである。

一番効果的だったのが、移動体通信に周波数を配分したことで、今や周辺市場を加えれば10兆円を超える市場と、おそらく10万人単位の雇用を生んでいるはずだ。これに意を得た周波数行政担当者たちは、デジタル化での周波数再配分による経済効果を最大化することを考えている。

既存の利権をもった一部の人たちだけが利益を得るということはできない時代になるが、こういう変革期にこそ新しいビジネスモデルで大成功する者も必ずでてくる訳だ。