昔のテレビを語る③ タイムトラベラー


  その昔、NHKで夕方やっていた「タイムトラベラー」はもちろん原作筒井康隆氏の「時をかける少女」。毎回、冒頭部分で今は亡きジェットストリームの城達也さんが顔出ししないで世界各地でおきた超常現象を語るシーンが印象的だった。洋館の中とおぼしき大きな観音開きのドアがきしんだ音とともに開き、あの渋い城達也さんのナレーションで始まるのが、SFドラマでもXファイル的な少しオドロオドロしい雰囲気を醸し出す効果を担っていた。

 筒井康隆氏は私が中高生時代に読みふけった作家である。父親が心理学と社会学の本と勘違いして本屋に注文してしまった「心狸学、社怪学」という短編集を読んだのが初めで、その後はほとんどの作品は読んできたと思う。当時は星新一氏と双璧のSF作家という位置づけだったが、星さんのショートショートとは全く作風も違うし、SFと云ってもその独特のハチャメチャさ、アナーキーさもあれば、長編では読み応えたっぷりの展開力のある設定やストーリーが用意されている。「富豪刑事」はドラマ化されたが、「家族百景」や「七瀬ふたたび」をもっとちゃんとしたドラマにすると面白いはず。一昨年の小松左京氏の「日本沈没」が映画でリメイクされたとき(まあひどい映画だったが)、裏で「日本以外全部沈没」も映画になり面白かった。

 で、タイムトラベラーを再放送で是非観たいのだが、この時代のものではよくあることで、NHKにもビデオが残っていない。確か平賀源内を主人公にした一風変わった時代劇「天下御免」もビデオが残っていないはずだ。たいへん貴重なコンテンツだったから非常に残念な話だ。