レイ・ハリーハウゼン


 小学校のころに映画館に「恐竜100万年」という特撮映画を観にいったことがある。
原始人がいたころにまだ恐竜が生きていた訳がないのだが、そこは映画だから、人間と
恐竜が戦う設定になっている。

 この映画はレイ・ハリーハウゼンという監督が、「ダイナミック方式」と呼ばれる特撮手法で、恐竜の動きを作っていて、このほかにも「SF巨大生物の島」や「シンドバッド七回目の航海」とかをつくっている。長年、この映画のDVDが出ないかなと思っていたら、最近ハリーハウゼンDVDボックスが発売された。


 今ではCGで「ジュラシックパーク」のような映像が楽しめる。それに比べれば迫力では劣るかもしれないが、コマ撮りして動かす技術にも映像としての力は十分あって、決してチープではない。
また恐竜の形状や動き方など当時としては最先端の情報でつくっていて、よくできている。「ジュラシックパーク」が公開されるまで、明らかに恐竜映画のNO.1だった。

 恐竜の形状(フォルム)というのは、男の子には何とも惹きつけられるものがあって、鉄道やクルマや飛行機の模型にはまるのに似ている。ちなみにティラノサウルス=Tyrannosaurus Rex は、Tyranoつまり恐怖の暴君を意味するラテン語にサウルス:「とかげ」を意味するラテン語でできている。Rexは王、恐竜王ということだ。
「恐竜100万年」にはティラノサウルスがトリケラトプス(「三つの角の顔」という意味。)と戦ったり、人間がケラトサウルスと戦う。またプテラノドンに人間がさらわれたりする。(最近の研究では、プテラノドンの骨は空洞になっていて、翼を広げると10mを超えるにもかかわらず、体重は15kg足らずだったというから、人間を持ち上げることができたかは疑問。)
人間の映像との合成はほとんど違和感がなく、すばらしい。日本映画の特撮だと、切り貼りした跡が青白い線で見えてしまったり、光の加減が違うので、取って付けた感じがあらわになるものがあるが、お金をかけているというか、実に仕事が丁寧である。

 近頃では、ヨーロッパのクレイアニメなど、CGでは出せない味のある映像が見直されているが、ハリーハウゼンのコマ撮りは逆に今でも十分視聴に耐えうる