「アカウントプランナー」という職能



 青山学院の小林保彦教授が、広告の発展、向上に広く貢献した業績ならびに活動に
対して贈られる賞:「東京広告協会 白川忍賞」を受賞されることになった。ご同慶の至りである。
私ベムは青学でも英文科だったので、大学で直接ご教授いただいたことはないが、会社に入ってから、(今から20年近く前だが、)当時「アカウントプランナーという職能をどう位置づけて、その機能を誰が担うか」をテーマに、社内勉強会を実施したときにご指導を賜ったことがある。


アカウントプランナーという制度というか職能は、英国の広告会社が採用したもので、小林教授が日本に紹介した。その後、電通をはじめ様々な広告会社で、この考え方は取り入れられた。電通の営業局は「アカウントプランニング局」と呼ばれるようにもなり、APの概念(日本的AP像)は日本の代理店にもそれなりに浸透している。
そもそも英国のクライアント対応ユニットは、少人数のセット(アカウントディレクター、アカウントプランナー、コピーライター)で構成されていて、ここを起点に専門スタッフを駆使する形である。そのためか、規模の大きいアメリカではアカウントプランナー制はあまり定着しなかったと聞く。
 
そもそもは、「クライアントとインターフェイスする営業マンにプランニングをコントロールする能力がないといけない。」というある意味当然の発想であるが、私ベムは、次世代広告エージェンシーにおいては、別の意味でのアカウントプランナーが必要だと思う。つまり、文字通り、「アカウントを企画する者」である。従来の広告会社はマス広告スペースを売ることを前提にしている。メディアのマージン収入を得るために周辺サービスをしているといっても良い。しかし次世代のエージェンシーは必ずしもメディア販売のマージンが収入の中核となるわけではない。案件ごとに、フィーをいただいたり、ミニマムコミットをもらって、あとは成功報酬モデルにしたりということも考えられなくはない。もちろん広告スペース販売は重要な収入モデルだが、収入の得方は多岐にわたるはずである。それをベストなかたちにもっていく仕事が求められる。ただ仕事を獲ってくるだけではなく、案件ごとに収入モデルを最適化するプランナーである。

 おそらくインタラクティブ領域では、クライアントのWebはメディアでもあり、必ずしもネット広告スペース(マス広告でも)を買ってくれるという訳ではない。従来型のマージン収入を頼ってフルサービスするわけにはそもそも行かない。
その意味で、収入モデルを設計する「アカウントプランナー」が必要になってくるだろう。