最近良く考えるのだが、「ブランディング」とは何かを考えたとき、これを「マーケティングの時間軸を長期にとった場合のROIの最適化」とはっきり言ってしまうことができると、短期のROI追求で鍛えられた者が、ブランディングコミュニケーションを勉強してアプローチする道筋があるのではないかと思うようになった。
ブランディングコミュニケーションは、広告クリエイティブというアートとして「面白い」「いいセンス」「いい広告」と定性的な評価を受けることが第一義的だったといえる。もちろん評判、話題になるということは広告の大切な役割だが、実は目的ではない。目的は「商品が売れること、買った人が買ってよかったと思うこと、ブランド資産が大きくなっていくこと、それでまた商品が売れること」である。これはマーケティング活動をどの程度の期間で評価するかによっても違う。
ただ従来のある意味やりっぱなしの広告で、どんな表現(メッセージ)やどんなメディアによる接点が、売りに結びついたかの検証がほとんどできない(しない)文化で育った人だけでなく、日々広告のROIを追求されつつも、クリエイティブとは呼べないようなテキスト広告でも、どんなフレーズやワードにはクリックが多く、アクイジションするかを体験している人が、メッセージの表現の仕方を拡張していくことにすごく期待する。
ユーザーが何に反応しているかを体感している広告マンが、中長期のROIを最大化するためにはどんなメッセージ、ブランドイメージ形成が必要かを考えるということだ。
もちろんセンスを磨いたり(これは元々の資質で持っていないとだめか)、コミュニケーションの本質を勉強するということもあろうが、テレビCMのようなハイエンドなクリエイティブだけが広告ではない。ユーザーが反応しているキーワードから組み立てていく広告コミュニケーションづくりを、若い広告マンにトライして欲しいと思う。そして、クリエイティブでない人のクリエイティブに期待する。かくいう私ベムも大昔営業でありながらコピーを書いたことがある。アマチュアかプロかの差は、恥ずかしがらずにいっぱい書くかかどうかだけで、考えた者勝ちだ。
次世代広告コミュニケーションでは、最初から分業化した職能構成がいいとは思わない。誰がクリエイティブプランを思いついてもいい。ユーザーの反応が分かって、センスのいい人なら誰でも。
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