ブランドコミュニケーション開発の方法



 従来の広告コミュニケーション開発は、基本的に広告主にある「思い」を起点にしてつくることになる。USP(Unique Selling Proposition:製品の差別的優位性の訴求)をメッセージにする「広告を打てば売れた時代」は、もうずいぶん昔のことであるが、作り手の「思い」でメッセージ開発して欲しいのは人情ではある。


 よくWebサイトではブランド周辺情報を厚く深く提供できるということで、製品開発秘話とか作り手の「思い」を伝えようとするケースがある。気持ちは分かるが、Webは最もユーザー主導のメディアなので、ここで売り手の論理展開は、あまりウマくない。ユーザーはある意味「買う理由」を求めてWebサイトを訪問している。情報は消費者サイドに立ってつくることだ。
 
 Weサイトでのコミュニケーションを半ばその気になってアクセスしてくる(購入意思決定を確信させて欲しくて来ている)ユーザーに、どういう情報提供で背中を押すかを基本に考えると、ここからアプローチして、誘導にはどんなメッセージがいいか、アウェアネスにはどうかと、逆引きしていく手法があると思う。この際、リスティングも含め、どんなキーワードにユーザーは反応してくるかを「データインテリジェンス」として把握してコミュニケーション開発するかどうかが、ポイントになる。

 「次世代広告コミュニケーション」における新たな価値創造としての「クリエイティブとテクノロジーの融合」のひとつの方向性は、ユーザーレスポンスから科学的なメッセージ開発を行なうことである。もちろん既存データからだけでは、現状追認になって新しい価値を提供ができないという話もあるだろう。しかし、そうした価値提案に反応するかをほぼリアルタイムに確認していくマーケティングが、Webを中核にしたインタラクティブマーケティングなのであって、送り手の一方的な「思い」だけで、マーケティングされたり、コミュニケーションが作られる時代ではない。