クリックを指標とする難しさ


 ネット広告の黎明期には、バナー広告のクリック率は1%前後平均であったと思うが、今や0.1%以下になることも少なくない。そもそもクリック率をネットメディア(プレイスメント)にギャランティさせる考え方はもう止めたほうが良いのだが、いずれにしてもネットユーザーは広告に慣れてきて、総じてクリック率は下がった。だからと云ってネット広告の価値や効果が下がった訳ではない。随分以前からのデータではあるが、ダブルクリックの総配信に対してのCTRとVTR(ビュースルーレート)は2003年のQ3あたりで逆転して以来、ずっとVTRの方が高い。

 ネットユーザーは成熟してきて、クリック率は下がっているなか、ネット広告表現はリッチメディア化が進んでいる。動画も、インタラクションもふんだんに組み込んだ表現は、既に広告のインプレッションとインタラクションを促せば、クリックしなくても従来以上の効果を得られるように出来ている場合がある。

 さて、comScoreとStarcom MediaとTacodaが調査結果を発表した。あくまで米国での話しだが、ディスプレイ広告に集まる全クリックの半数はウェブサーファー人口のたった6%の人たちのクリックで成り立っていることが分かった。

 そして、その6%のヘビークリッカーの平均像とは・・・。

・年齢25~44歳
・年収4万ドル未満
・オンラインで過ごす時間は長い
・オンラインで落とすお金は少ない
・オークション、賭博サイト、求人掲示板の常連

 ということのようである。
あまり、マーケティング価値のあるようには思えないが、尚のことクリックベースでネット広告の価値を評価することが難しくなっていることが分かる。

 従来クリックさせて、企業サイトを訪問させてから行なっていたユーザー行動を、広告のなかでやってしまおうという場合、インタラクションなどのユーザーログは、広告効果の新たな指標となる。
 動画の再生回数、再生時間、インタラクションなどから広告効果と表現のパフォーマンスを測ることになるだろう。