到達の概念「OTSとインプレッション」


 欧米では、テレビCMなどの広告接触の概念をOTS(Opportunity to See)という。直訳すれば「見る機会」ということ。つまり「見る機会は与えているけど、実際見ている、認識しているかは分からないよ。」ととれなくもない。
 インターネットの通常のバナー広告には、広告接触単位をインプレッションと呼んでいるが、従来IAB(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー)でのバナー広告の接触概念は基本的にOTSとしてきた。


 しかし、フラッシュを使ったリッチメディアは、インタラクションを仕掛けて、広告表現に対するユーザーアクションを喚起するようになっている。しかもそうしたユーザーのインタラクションをカウントするようになった。またインターネットCMもユーザー自身が動画コンテンツをオンディマンドで引き出す時点で投下されているので、ただ単に「見る機会」を与えているというのとはちょっと違うような気がする。

 ネットがエンゲージメント型メディアであることは、ネット広告フォーマットが進化するたびに確認できる。従来はクリックによる誘導効果がその代表的な仕組みであったが、現状クリックがさほど望めないなかで、誘導した後にユーザーに見せていた(触らせていた)ブランド体験を広告表現中に組み込むスタイルが増えている。

 こうしたアテンションからペネトレーションまでを担う(奥行きのある)広告というのは従来なかった訳で、テレビと同じOTSでこれらを認識することはできない。

 ペネトレーションのために機能する仕組みをもった広告に関しては、アテンション型の到達概念OTSとは別の概念が必要だ。

 同じ間尺で語れない役割や効果については、区別して、それぞれの価値を考えることが重要である。