IPマルチキャスト放送→地デジ放送→オンディマンド


 「IPマルチキャスト放送が、テストマーケティングになり、地デジで本放送となって、アーカイブはオンディマンドで視聴される。」
 今後こういう図式ができあがる可能性があると思う。

 テレビというメディアは視聴率で、その成果をはっきり評価されるのだが、いずれにしても「やってみてから分かる」メディアである。ネットはその辺はリアルタイムなので、コンテンツも広告も受け手の反応(レスポンス)を見ながら手を入れられる。
 テレビはつくってしまって評価を得る。番組企画が当たるか当たらないかは今でもある意味送り手の感覚頼みである。

 多額の制作費をかける地上波の番組も視聴率が悪いと、ドラマなんかは打ち切りとなって、周辺はたいへん迷惑するものだ。テレビコンテンツにテストマーケティングがないのは、その影響力や市場性から考えてもおかしい。


 Youtubeやニコ動を見るまでもなく、情報の受け手主導で盛り上がるネットの状況を考えると、情報の消費者主導でコンテンツマーケティングとプロモーションできるこの仕組みを使わない手はない。

 IP放送でパイロット版がテストされて、その評判から期待値の高いコンテンツが選抜され、かつ手が入れられて本放送版がつくられるというようになるだろう。テストマーケティングのためにはニコニコ動画などのネット動画共有サイトも、こうした機能をもつ側面もあるが、やはり大画面のテレビ端末で視聴されることが必要だろう。

 今後、フルハイビジョンのテレビモニターにブロードバンド回線が繋がれると、こうしたプロセスでの番組コンテンツが、市場性、受容性をマーケティングされてから、地上波で本放送されるようになるのではないかと思う。
 今の番組制作は、確実に視聴率が獲れる木村拓也主演ドラマくらいでないと、最初から大きな予算投入をする企画ができにくくなっている。テレビ番組は、安価で失敗のリスクの少ないものにばかりなると、結局視聴率が取れなくなり、視聴率が換金レートであるテレビ局としては、制作費がまた抑えられるというデフレスパイラルに陥る。

 高速のネットに繋がったテレビでは、番組コンテンツ開発手法も変わっていくと思う。