昔のテレビを語る  その9 「アメリカン・ミュージック・アワード」


  グラミー賞がレコード大賞だとすると、歌謡大賞(もうなくなったか。)みたいなのが、アメリカン・ミュージック・アワードである。このアワードが有名になったのが、84年だったか、この授賞式に集まったミュージシャンたちが、そのままスタジオ入りして録音したのが「We are the World」だったからで、マイケル・ジャクソンが社会的ブームになっていたころは、彼が登場するこのアウォードの受賞式の番組は日本でも価値のあるコンテンツだった。

 80年代は洋楽の価値は高く、特に「スリラー」のころのマイケル・ジャクソンは特別で、グラミーが特番で10数%の視聴率を獲得できた。

 そこで、この「アメリカンミュージックアウォード」が懐かしいのは、このソフトを日本に持ってきて、音楽特番として1社提供社にスポンサードしていただいてオンエアする仕事をしたからだ。


 この特番は「ベストヒットUSA」や「カーグラフィックTV」と同じスタッフで日本版が制作され、MCは松任谷正隆氏にお願いした。毎年スーパーボウルの直前くらいのタイミングで当時のロサンゼルス、シュラインオーディトリアムで行なわれた。80年代後半で、日本はバブル全盛期、いわゆる外タレを招聘することも一般的になっていたが、徐々に洋楽自体は下火になりかけていたかもしれない。
 
当時は、ガンズ&ローゼズやRUN DMCとかが受賞していたころ。授賞式の間のパフォーマンスではブルース・ウィリスが歌ったりしていて面白かった。
 いずれにしても、グラミーやAMAが民放で特番が組めた時代だった。
 その後、AMAはNHKのBSで放送されたりして、地上波のコンテンツではなくなってしまった。アメリカや英国ものなら何でも有難がることもなくなり、90年代には、メジャーアーティストの冠協賛もほとんどなくなっていく。
 
 今ではこのコンテンツなどは、ネットでオンディマンドで見せるのがちょうどいいのかもしれない。地上波放送、IPTVマルチキャスト、ユニキャストによるオンディマンド、みなテレビの大画面に映ることになるだろうが、ユーザーの需要と配信コストの経済性によって、どのディストリビューション手段を使うかが決まるようになるのだろう。