新聞広告市場は、2000年に1兆2474億円あったものが、2007年では、9462億円となった。2000年を100とすると2007年は、75.8だから市場のシュリンクはかなりのペースだ。新聞の閲読率も全世代で落ちている。もともと新聞の閲読率は年代が上がるほど高くなるが、約10年前と比べて一様に下落していて、10年前の30代の閲読率が今の40代の閲読率に、10年前の20代の閲読率が今の30代の閲読率になっている。
つまり、新聞を読む人は引き続き読んではいるが、新しい世代は新聞を読まない人の割合がどんどん増えているという構造となっている。
朝日、毎日、読売、日経、サンケイの5紙合計閲読率を年代別に見ると・・・。
まず全体では、97年に78.1%あったものが、2006年には60.8%になっている。この9年間の推移を各性年令別に見ると、
男性10代 46.2 → 33.7
男性20代 60.4 → 31.9
男性30代 83.0 → 56.5
男性40代 98.0 → 78.9
男性50代 105.2 → 81.4
男性60代 102.4 → 87.5
女性10代 46.4 → 38.2
女性20代 60.7 → 35.3
女性30代 72.6 → 51.2
女性40代 81.8 → 75.1
女性50代 88.7 → 70.6
女性60代 83.9 → 78.2
こうして見ると、この9年間の閲読率の低下の程度が一番大きいのは、やはり男女の20代だ。97年の閲読率を100とすると、06年では男性20代が、52.8、女性20代が58.1である。なるほど数字にすると、かなりクリティカルな状況である。
私ベムも新卒の面接をすると、新聞を取っていないという学生がずいぶんいることに驚かされる。私の時代だったら、面接で新聞とってないなどと云ったら即落ちているだろうが、今の人たちは、「新聞を取らなくてもニュースコンテンツはネットで常に取得している。」という感じだろう。閲読率というのは家で新聞を取ってくれていれば、10代でも読んでいる訳で、単身世帯となる時に取らなくなる現状が、男性20代の閲読率が10代より下回ってしまっているところに見える。
新聞というメディアの強みは、定期購読による毎日の、かつ継続的な接触が可能であることと、社会的な関心としてのテーマに読者を巻き込む力である。ところが速報性では、既にテレビやネットに負けている。その分、フォーラム性(「問題提議と議論を繰り返し、内容の深堀りを読者とともに行い、読者の意見のコンテンツ化」ができるということ)のあるメディアであるということを武器にしなければならない。
こうした強みをネットにおけるソーシャルメディア機能をうまく取り込んで、さらに強くしていける可能性はある。
USA todayは、全米でもほとんどの新聞がその部数を大幅に落としているなかで、(全米上位25紙のなかで4紙だけ増加)部数を伸ばしている新聞社だが、彼らは「Network Journalism 」というコンセプトでサイトを再編した。『The idea that reporting can drive readers and readers can drive reporting.』という思想のもと、SNS機能を追加して、ブログ作成、コメント管理、写真共有などのサービスを読者に提供している。またここが大事なポイントだが、記者がコミュニティに積極的に参加していることだ。このサイトリニューアルで、ユニークビジターが31%増、サイト登録者380%増となり、結局紙の方の部数増加にも貢献した。
新聞のメディアの本質を今の時代に改めて見直すことで、新聞のビジネスモデル変革と新聞広告のリポジショニングは可能だと思う。返って思い切った施策ができるサンケイさんあたりにネットでの成果が上がっていることを見ると、そんな感じがする。
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