釜本選手の全盛期


 今日、「中田英寿プレゼンツサッカー+1」と銘打って、ジャパンスターズとワールドスターズの試合がテレビでも中継された。中田の現役復帰は、その動きではちょっと無理そうではあったが、面白い試合ではあった。ジャパンスターズの釜本監督がピッチに立ったのもご愛嬌とはいえ、観客を楽しませたようだ。トラップに足元がちょっとおぼつかない様子にスタンドから笑いがでていたが、若い世代の観客はもちろん釜本の全盛期を知らないだろう。

 私が小学校のころ、田舎の清水には日本鋼管があって、清水市営サッカー場のこけら落としに、当時の日本リーグのヤンマー対日本鋼管の試合があって、これを観戦しに行ったことがある。

 今でも目に焼きついているのは、この時の釜本の決勝点になったシュートである。釜本は前線に張っていて、日本鋼管が前がかりになって押し上げているときに、一本前線の釜本にパスが繋がった。センターライン付近でバックスをひとり抜くと、あとはゴールキーパーだけで、ドリブルでキーパーと1対1にもっていくかと思いきや、30数メートルのロングシュートを放って決めてしまった。その弾丸シュートの凄まじさがたいへん印象的だった。

 昔のボールは今のと違って、水を吸ってたいへん重くなる。そのときも小雨が降っていて、ボールは水を吸っていた。その重たいボールをものすごいスピードのシュートでいとも簡単に決めた釜本のセンターフォワードとしての能力の高さは傑出していた。
 あのシュートを今のボールで蹴ったらどんなスピードがでるだろうか。

  64歳になられたということだが、日本サッカー史上、突然変異のように現れた不世出のフォワードであることは間違いない。