最後の広告レスポンスだけ評価されるのはどうなのか。


Atlas Institute のサイトからダウンロードできるスライド「Beyond the Last Ad」を読むと、ひとりのユーザーに複数の広告接触が累積している効果を評価して、ユーザーアクションの直前の広告効果だけで判断すべきでないとしている。「Engagement Mapping」という解析システムでは、1ユーザーが接触するパッシブなインプレッションと(広告フォーマットやサイズなどごとに指標化している)とアクティブ要素(クリックやリッチメディアへのインタラクション)を数値化して、コンバージョンのコストパフォーマンスの最適化をはかるツールとなっている。(いずれにしても、こういう仕組みは、広告のバイイングサイドが配信を一元的に行なっているからこそ把握が可能である。)

http://www.atlassolutions.com/institute_engagementmapping.aspx

しかし、こういう分析を見ていると、日本では検索連動型広告など、クリックされやすい広告、最後の(アクション直前の)広告しか評価されず、ディスプレイ広告が、検索行動をサポートしていても、そこは評価されず、最後の広告ばかりが「おいしいところ」を全部持っていってしまっている訳だ。

このスライドには、検索からのクリックと、ディスプレイ広告のインプレッションを伴なう検索からのクリックを比較すると、コンバージョン率で後者が22%高いとするデータも公開されている。
バイイングサイドとしては、CPAが良くて、たくさん獲得できれば良い。またマーケティング活動の時間軸の設定(半年なのか3年なのか)に応じてROIを最大化したい。

流入を果たした最後の広告ばかりを評価していると、顧客獲得の絶対数と効率の両立を維持できない。ディスプレイ広告の価値をしっかり評価して、そのクリエイティブの果たす役割とそのパフォーマンスを認識できるマーケターが最後に勝利すると思う。