リモデルの年


 さて、2009年最初のエントリーは、「マーケティングリモデル」についてである。この景気後退感は、マーケティング戦略を大きく見直すきっかけになるだろう。
 売上が期待できないのだから、マーケティングコスト特に広告費を抑制するのは当然である。ただこの「大きな売上が期待できないから広告費を削減する。」という思考には、全体最適と将来最適と考える経営思考がないとダメだ。もし経営トップが売上見込みが落ち込んだから、単にコスト合わせとして広告費削減を指示しているとしたら、その会社のマーケティング遂行力はダメージを受けている。景気が回復したときに競争力を持てなくなると云っていい。

 広告費の削減は仕方がない。しかし、減らすのであれば、減らしても極力売上を落とさないコスト投下の選択と集中を行うべきである。
 ひとつの方向はパーチェスファネルの下流にマーケティングコストをシフトすることであり、もうひとつはアウェアネス獲得に従来のようなコストを使わない新しい手法を試みることである。

 パーチェスファネルの下流にコストをシフトするということは、インマーケットの見込み客に集中させることが基本だ。そして、これをマーケティングROIの測定管理可能にするということである。この2つを実現させるためには、多くの企業がマーケティング推進体制を再編しなければならないことに気づくだろう。

 最近、私もWebサイトコンサルに関わるプレゼンテーションをすると、クライアントの社長が出席する場合ですべて仕事が決まっている。なぜかというと、この時期に必要な提案は、全体最適化の提案であり、それが組織横断的な判断が必要だからだ。

 逆にいうと、組織ごとのミッションに縛られていると、この時期のマーケティングリモデルと新しいチャレンジができない。「パーチェスファネルの下流にコストをシフトさせて、そのROIをしっかり測定管理する。」これを実行するためには、経営トップの理解と経営判断が必要だ。

 ここで、こうした再編に手をつける企業と、状況を不況のせいにだけして手をつけない企業とでは、景気回復後に決定的な差がつくだろう。