マーケターである企業にとって、今後どんな人材が必要になるか。またどうやって育成すべきなのか。景気後退期だからこそ次世代の人材育成を本気で行なうべき時期だと云える。
欧米だと、クライアントである企業のマーケター、広告会社やメディア、アカデミズムの3者を人材が行き交って、どんどんスキルを醸成していく。これに比べて日本はこうした人材交流が極めて少ない。
さて、これからマーケティングコミュニケーションの世界で起きるであろう人材の行き来は、下記の2つのトレンドで引き起こされると思う。
ひとつは、広告主企業自身が、メディアマーケティング事業に踏み込むことでのコンテンツ開発人材やメディア運営人材を取り込むこと。
もうひとつは、メディアがB to Bでコンテンツを売る体制を作り出すことで起きる。メディアのもつコンテンツをブランデッドコンテンツに仕上げるプロデューサー人材を取り込むことだ。
前者でいえば、メディアにいる人材が広告主企業に、後者で云えば広告会社にいる人間がメディアに、という具合である。
一方、企業のマーケター人材育成もまた、従来と異なった手法がとられるだろう。ポイントはふたつ。ひとつはスルー・ザ・ラインというかビジネスプロセス全体に精通していて全体最適思考ができる人材が求められるということ。もうひとつは、そろそろデジタルネイティブが社会人になってきている現在のネット社会のコミュニケーション構造を体感的に理解している人材であることである。
この要件を満たすには、若い年齢層で、ネット社会でのユーザー目線をしっかりもっている人材に、企業のビジネスプロセスとか、ビジネスロジックを再構築してもらうことをミッションとして与えることだ。人材育成は基本実践をもってしか成立しない。
経営層でも若手をCMOとして大抜擢して、人材育成を兼ねた組織再編を若手や社外から人を採って、行なうべきである。また次世代マーケティング体制の構築の観点でいうと、現時点でROIの測定管理ができている企業内マーケティング人材に、全体最適を任せていくべきである。
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