「意見」ではなく「行動」を把握する。


従来のマスマーケティングでは、メーカーを中心とした広告主は直接エンドユーザー(最終消費者)とのコミュニケーションをとりづらい状況にあって、そうであるが故にメディアと広告会社に依頼して、広告コミュニケーションの実行と、マーケティングデータの収集を行ってきた。
 ところが、インターネットの普及は、企業Webサイトを自社メディアであり、自社のマーケティング装置として機能させられる環境をつくっている。
 この状況で起こっていることは、マーケティングデータの収集や処理の考え方が変わっていくということである。自社のWebサイトというインタラクティブな装置に消費者としてのユーザーが直接アクセスしてくれるのだから、紙ベースでアンケート調査やグループインタビューで調査していた時代とはずいぶん事情が違う。

 まず、Webでのデータは「全数調査」を常にやっているようなものであることだ。またレスポンスがあったユーザーを把握できるので、レスポンスに至った効果や経路を逆引きしていけることである。
 これは従来の「顧客となってくれるであろうと推定されるターゲットの『意見』を聞くマーケティング」から、「実際に顧客化したユーザーの『行動』を分析するマーケティング」になったということである。「意見」を聞くマーケティング手法は、調査対象本人にそのつもりはなくても「ウソ」がある。私も昔はずいぶんグループインタビューなどをやったものだが、特に女性のグループインタビューなどは、意見をリードする人がでてきて、他の対象者が思っていることを話さないなど、正確な情報をとることが難しい。その人の着ているもののブランドやアクセサリーなどで被験者6人の関係値が決まったりする。意見を聞くというマーケティング手法は実に危ういのだ。

 一方、Webサイトには行動の履歴がデータ化される。行動には「うそ」がない。特に購入したという行動データによって立つマーケティングのリアリティは従来の「意見」を参考にするものとは比較にならない。

 企業マーケターにとって、今起きているこうしたマーケティングデータ取得方法の進化をしっかりものにできるかどうかは大きなテーマだ。