ネット広告「虎の穴」


そろそろ新卒の研修も終わって、配属になるころだと思う。
さて、広告業界の新人研修というのもかなり難しいものがある。そもそも非常に広範囲のことを教えないといけない。知識中心かスピリット中心か、知識といっても全部網羅できるはずもないので、せめてこれからどんなことを覚えなければならないか、領域マップが頭に入るようにしてやるといい。最初に体系的に整理しておいて、インプットするべきところにインプットできるようにしておくことが大事だ。
 さて、ベムはずっと「これからの広告マンは、まずデジタルスキルを身に付けてから、マス、リアルを習得する方がいい。」と言ってきた。
 まずはネット&モバイル広告、デジタルソリューションテクノロジーをしっかり吸収できる素地をつくる。なぜかというと、この領域は日々情報更新しなければならない世界であり、正確な情報キャッチアップができる「脳」にしておく必要がある。これは「刷り込み効果」のようなもので新社会人になった時の「三つ子の魂」にしつけておくことだ。

 もうひとつは、ITリテラシーを徹底的に習得することである。業務に関してシステムに入力行為をすることは当たり前で、みんながシステムに登録やデータ入力をすることで、結果全員が効率的なオペレーションができる。これを全く面倒臭く思わないようにしつけることである。

 だいたい広告マンは、「自分のスキルで仕事をしている。」というような妙な自負があって、情報システムを使うことを、システムに使われているような抵抗感を覚えるやつが多い。ただITリテラシーが低いだけなのだが・・・。未だにいるみたいだが、これ見よがしにシステム手帳を小脇に抱えている広告マンの姿は、私から見ると、「こいつは自分の仕事が自分だけでクローズしていて、情報共有ができていない。」象徴だ。今はいろんな業務サポートシステムがある。「情報共有」から「ナレッジ共有」までしっかり利用しない手はない。それらを使いこなす習慣は、早めに躾けておくにかぎる。
 
 マス広告などの従来の広告ビジネスは、その手法や開発プロセスがもう確立している。教わることが比較的楽だ。であれば、まだ確立していないために、例外的対応が多く、覚えることが本当に多いデジタル領域を、頭の柔らかいうちに鍛錬しておく方がいいのだ。
 また、デジタル領域のスキル獲得には、従来より座学やロールプレイングなどの継続的な学習プログラムが必要だ。従来、新人研修以降はほとんどがOJTで済ませていたと思うが、OJTだけではトレーナーの力量で左右されすぎる。
 新人の訓練プログラムとして「ネット広告『虎の穴』」(仮称)を始動する。(名称の別案としては「Y’s ブートキャンプ」)
 トレーナーの側もトレーニーを付けることで鍛えられる。「スキルトランスファー」はこれからの広告会社のたいへん重要なテーマだ。