こういう連休の時にしかテレビをじっくり観ることができないが、いったい自分が何を観ているかというと、29日の日本柔道選手権とヨーロッパチャンピオンズリーグと、NHKのドラマ「ハゲタカ」の再放送と、NHKBSのMLBと、NHKスペシャルと・・・。
深夜のチャンピオンズリーグ以外は、ほとんどNHKである。広告を生業にしている者としては、何とも忸怩たるものがある。もちろん私のような者が観る番組だけに価値があるわけではない。私のような者はマーケティング対象ではないのかもしれない。しかし私は全くテレビを観ないわけではない。広告人として、普通の同世代男性よりは確実にテレビを観ている方だと思う。
しかし今のテレビ番組は、広告主が求めている「視聴者の視聴態度」を獲得しているとは言いがたい。
先日、新人研修の講師をしていて、新人たちにテレビスポットの作案作業をさせた。ある局のタイムテーブルと、視聴率表を渡して、逆Lで500GRPのスポット案をつくらせた。
その視聴率表の各番組の世帯視聴率とその横に並ぶ、個人視聴率を見ると、欲しいターゲット視聴率を獲るのがかなり難しいことに気づく。
私が、20年くらい前に実際にやっていたテレビスポット作業とは様相が違う。
当時はGRPが二アリーイコール広告効果であったし、GRPとPOSデータによる販売実績はかなりの度合いリンクしていた。しかし今は違う。効果の変数は投下量だけでなく、メッセージそのものに大きく頼ることになった。
私は、テレビ広告を否定しているのではない。テレビ広告に頼り過ぎた「広告メッセージの作り方」がもう時代にあっていないのだ。
「テレビCMづくりがブランドのコミュニケーションコンテンツづくり」と考えていた発想と、そのコミュニケーションの開発装置が古くて、機能していないのである。
GRP=広告効果ではなくなった。つまりコンテンツ次第だ。
今では常識化したが、テレビ広告を投下するなら、事前に検索結果としてネット上で話題となっている状況をつくっておかないとテレビの効果がもったいない。ブログ・SNSに仕掛ける。
またどうせテレビ広告を使うなら、ネットでブランドオリジナルのコンテンツが話題になる状況をつくり、ネットユーザーにジェネレートさせ、テレビ広告のコンテンツが事前に期待されるものにしておくべきでは?
動画サイト、動画投稿サイトを使った仕掛け、ARG・・・いろいろ試すべき仕組みがある。
テレビ番組がつまらない。であれば面白い広告を露出しなければ効果はない。面白い広告をつくるには15秒のテレビCMの開発プロセスから早く脱却することだ。
そして広告主にパワーがあるなら、自分でメディアマーケティング事業をもつべきだろう。プロ野球の球団もいいが、ネットやモバイルのメディアを持つの手だ。
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