TVとインターネット その接触時間と視聴率


 テレビには圧倒的な到達力がある。情報をプッシュする力は他のどんなメディアも足元にも及ばない。それを支えているのは、メディアの中でもダントツの接触時間(視聴時間)である。 
 しかしこの時間のうち広告は15%強であるので(もちろん放送法で規制されている)、広告への接触時間でいうと別のデータが必要である。一方私の感覚では、閲覧しているWebページのほとんどに広告が掲載されている。広告接触チャンスとしてのインターネットはかなりいい線行っているかもしれない。
 誰か、Webの閲覧時間のうち、広告掲載面あるURLを見ている時間のシェアはどの程度か調べてくれないだろうか。
 もちろん、広告フォーマットが違うテレビ広告とインターネット広告を単純比較するのはナンセンスだ。そもそもの接触態度、情報取得態度、期待値も違う。しかし、ネットもビデオ広告などが増えており、これらはかなり確実な視聴として計測できる。フラッシュビデオであれば、リクエスト回数だけでなく、どこまでの再生が行なわれたかも記録できる。この辺はテレビの視聴率データよりはるかに優れている。
 
 日本でテレビの個人視聴率が機械式で計測され始めたのは、確か97年からだと思う。それまでの日記式の視聴率よりも若干数字が落ちたように記憶している。
 機械式といっても「ピープルメータ」は、家族構成員のうちのそれぞれのボタンがリモコンにあって、テレビを観ているときに各自がそのボタンを押しておくというものだ。確かアメリカには、カメラが着いていて、テレビの前にいる人物のシェイプから個人を認識する優れものもあったと思う。ネットの広告の視聴記録も、アドサーバーへのリクエストベースではなく、クライアントPCでの表示をもって信号を出して記録するから、精度は高い。(IABの推奨方式)
 
 ご存知のように、テレビスポットを個人視聴率ベースのGRPで買い付けることはできない、しかし今どきTARP(個人視聴率ベースのGRP)で換算してスポット案を評価しないクライアントもない。
 それだけテレビの場合、ターゲット層以外の無駄な出稿は避けられない。しかしターゲット含有率ばかり求めていたら、リーチ(ターゲットリーチ)も獲れない。即効性が強みのテレビ広告のうまい使い方にはならない。この辺が難しいところだ。

 2000年におそらく日本で始めてのインターネット広告に関する本「ネット広告ソリューション(日経BP刊)」を出版したとき、インターネット広告は、到達力とセグメント力の両方を満たす広告メディアになると書いた。
 実際、現在のネット広告にはその両方の力がある。しかしテレビのプッシュ力と遜色ない広告枠と評価されているのはまだヤフーのブラパネくらいだ。ただ、そこにはネット広告に対する誤解もある。広告界には感覚的な「出した感」を云々する人がいて、「宣伝部長が観られないと、ターゲットが女性であっても、どうも広告が出ている感じがしない」という。しかしこれも時代が「広告レスポンスがあって初めていい広告」という受け手主導感覚にシフトし、効果を必ず測定管理するようになれば解決するだろう。実際にセグメントされたターゲット内の到達力があれば、効果があるはずだから。

 そういえば、テレビ番組に最近2時間特番や3時間特番が増えた。期首特番の時期でもないのに、始終やっている。テレビ番組の制作費は1時間でも3時間でも基本そんなに変わらない。テレビ局の制作費抑制政策が、長時間特番編成に表れている。これでは現状の視聴者層を拡大するチャンスはますます減っていく。同じ内容を3時間飽きない人にしか視聴意欲は湧かない。
 私が最近ちゃんと観たテレビ番組は、NHK「証言ドキュメント 永田町権力の興亡」くらいだ。

そもそもテレビが持っているメディアパワーが、コンテンツが比較的貧弱になることで減退するのはもったいない。今こそテレビのプッシュ力を評価して、しっかりしたコンテンツを注入していくべきだろう。