「仕事と作業の区別がつかない営業」「評論家のようなことばかり言っているスタッフ」


 以前のブログ「広告業の将来」で書いたこのフレーズにずいぶんレスポンスがあった。広告業界には昔から上記の2種類の人間がいる。ただ彼らの基本的なスキルが時代とあっていた時期は、「使えない奴」とはいえ、まだ存在の価値はあった。しかし従来のマス広告型の広告マンスキルだけでは、クライアントニーズにしっかり対応できない現在、上記2種類の人員をいかに処遇すべきかが問われる。

 まず、仕事と作業の区別がつかないというのは、「作業」に入り込んで「仕事」をしているふりをする、付加価値の低い人員である。「ワーク」と「ルーティンワーク」は全く違う。「仕事」を作り出す能力、つまり局面、局面で、同じ解答がない中で「切り開く」行為が「仕事」である。そうしたことができるから経営者は社員にアルバイトより高い対価を払う。
また広告主側から見ても、前回のエントリーのように、どうすればいいか分からないことを解決してくれるから頼むのであって、分かっていることの作業だけ頼むのは「業者」という。ただ、これは世の中で「業者」と呼ばれる人たちにたいへん失礼で、「業者」と呼ばれても、しっかりしたソリューションを提供する人たちは多い。逆に広告マンは「業者」と呼ばれることにすごく抵抗感をもつ割には、本当の「価値」を提供できている人材は少ない。

広告会社の営業機能のひとつを「アカウントプランナー」と呼ぶことが増えたが、営業のフロントラインにいて、広告プランニングをリードする機能とともに、重要なのは、この仕事はどうやって収入を最大化するかをプランニングする役割だとも言える。通常のマージンモデルかフィー制か、はたまた成功報酬か、リベニューシェアか・・・。広告会社にとっても今の顧客は、「広告」を頼んでいるわけではなく、「ビジネスのソリューション」を頼んでいるのだから、収入モデルは多様になってしかるべきだ。全く同じ価値のものを右から左に移して、大きな付加価値を得ようというのは、今の時代もうずうずうしい話になってしまった。広告マンは自分の「価値」が何か明示しなければならない。もちろん広告は実施してナンボだから、オペレーションは必須事項、ただしそこに「価値」を付け加えることができているかを自問せねばなるまい。プランニング力なのかプロデュース力なのか・・・。

ただ、日本には広告主側にも、アイディアやソフトに価値を認めようとしない人も多すぎる。人のアイディアに正当な対価を払わないものは、最終的には報われない。決して得はしない。

さて、一方で、広告会社のスタッフは、顧客と対峙しないでも済むようにしてはいけない。放っておくとすぐバックヤードに逃げ込んで、「営業」ばかりか「顧客」を批判しては溜飲を下げている「使えないスタッフ」に成り下がる。「広告」は「サービス業」である。広告会社のすべて従業員は顧客とインターフェイスできなければならない。
ということは、半強制的に広告主のもとに直接出向いて「仕事」をせざるを得ない状況をつくることだろう。

 いずれにしても広告会社における「フリーライダー」をどうやって少なくするのか、とにかく手を打っていくしかない。実践あるのみ。