デマンドサイドとサプライサイド


 前回のエントリーで、「アドエクスチャンジを真ん中にして、アドネットワークまでのセルサイド、DSPなどROI最適化のための第三者配信システムと書いたが、よく分からない表現だったので、説明し直す。

 従来、「広告主」→「エージェンシー」→「パブリッシャー」ないし「アドネットワーク」←「配信システム、メジャーメントシステム」というバリューチェーンだったのが、アメリカではもっと複雑に進化している。

 表のように真ん中に「アドエクスチャンジ」があって、左側にデマンドサイド(すなわちバイイングサイド)、右側にサプライサイド(すなわちセリングサイド)という図式である。それぞれの箱のなかに具体的にどんなプレイヤーが入るかは別途取り上げるとして、日本には第三者配信サーバーを核として、広告配信の最適化を図るデマンドサイドのソリューションがほとんどない。こうしたPaid Media におけるクライアント向けソリューションが発展しないと、広告主のマーケティングコストはどんどんOwned Media と Social Media 施策に振り向けられる可能性がある。
 ネット広告のセルサイドは、もっと自分たちのメディアがクライアントのソリューションのひとつであることを意識して、対応していく必要がある。

 一例を挙げれば、「コンバージョンパス分析」で書いたように、第三者配信環境を整備しないが故に、クリックベースのみのパフォーマンス評価(CPA)の逆算で、CPMの相場が出来上がってしまっていることをメディア自身がもっと気づかなければならない。自身のメディア価値を「直前クリック」という一部分でしか評価されていないこと、またクリエイティブの最適化によって得られる効果を、クリックベースだけ見ているが故にほとんど測定できていないことなど(Last Click しか評価しないとそうなる。)で広告効果そのものが実際より小さく見積もられていることを再認識する必要がある。

 セルサイドがもっとバイサイドのための仕組みに対応することは、自身の価値を従来より高く評価させるチャンスであることを、改めて言明しておきたい。