市況は回復しつつあるが、構造的には今のままの広告代理業の将来は明るくない。総合広告代理店の中にはリストラをせざるを得ない会社もある。それだけ収益性が悪くなっているのと、従業員のスキルが時代に追いつかない(経営者も追いついていない)状況にある。
しかし、アジアを中心に海外に目を向けると、日本では古くなってしまったようなスキルの発揮しようが、ずいぶんあるように思う。
以前、海外のネット媒体を買い付けることがよくあった。海外のメディアバイヤーと仕事をすると、その粗い仕事ぶりにびっくりすることがあった。インプレッション数の未達などは当たり前で、ホスピタリティのかけらもない。
ホスピタリティという話だと、名旅館「加賀屋」が台湾に進出したのはニュースでも結構取り上げられた。日本人の「ホスピタリティ」の象徴のような、サービス業の極みのような「スピリット」が海外進出する時代である。
私は、ずっと前から新卒の採用の面接で学生に、「広告って何業だと思う?」と聞いている。正解がある質問ではないかもしれないが、出来れば「サービス業」と言って欲しいので聞いている。「サービス業」としての「広告」という側面では、日本の広告業は極めてお客である広告主への「ホスピタリティ」が高いと思う。
そうしたものをアジアに持って行って評価を受けるということもあるのではないだろうか。アナログな広告しかできなくても、成長率の高いアジアでは別にアナログな広告でも「物は売れる」。デジタルの理解はあったほうがいいが、それ以前に広告業のサービス業としてのスキルがあれば、(言葉のハードルさえ越えれば)アジアで通用するのではないだろうか。製造業では、職人技の継承者がいない日本を離れ、海外で技を引き継ぎ自己実現を果たす団塊世代も多い。広告マンはどうか。日本の広告マンの長年培ったノウハウとスピリットは特に新興アジアで価値を創れないものだろうか・・・。
0コメント