広告会社の仕事を、コンサルティング、プランニング、オペレーションと3つに分けるとして、まずオペレーションにおけるいわゆるケーパビリティは、当然大勢の人間による組織力とスキルトランスファーする仕組みでしか解決ができない。プランニングも個人力が中心とはいえ、今後は集合知をどう活用するかが注目される。組織的にプランニング能力を上げるという手段もあり、お互いに刺激し合う環境をつくることが重要だ。プランニングのための情報を取得するためには組織力が必要でもある。もちろん発想力は有能な個人によって形成されるものなので、組織で解決ができないことが多い。少数精鋭のブティック型で対応するのが特にデジタル領域のプランニングに向いているかもしれない。
ただ、ことデジタルマーケティングのコンサルティング能力においては、今のところ「どこ(どの会社)に頼むか」ではなく、「誰に頼むか」に帰結する。知見と構想力はそれが一番高い個人に適わない。いくら会社にいる大勢の人間が束になってかかっても、一番能力の高い個人ひとりに軍配が上がることが多い。
そしてそのコンサルティングにおける知見と構想力はソリューションサプライヤー側の経営者には欠かせない。広告主のマーケティングコンサルをする会社の経営者にマーケティング知見がないのでは洒落にならない。広告会社の今後の方向性のひとつがコンサルティングエージェンシーだとすると、戦略コンサルのように、その経営者は代表パートナーのような存在である必要がある。
広告主は仕事を依頼する会社のオペレーションのみ買うのであれば良いが、プランニングやコンサルティングを買うのであれば、その会社の経営者のマーケティングコミュニケーションに関わる知見や構想力を問わないといけない。海外の経営者は若くて、ソーシャルメディアとマスメディアのそれぞれの強みも弱みも双方体験的に理解している。そうしたクライアントに対して、広告会社の経営者という個人に求められる要素もおのずと分かってくるはずだ。経営トップがソーシャルメディアくらいは活用していないと、選択肢にすら入らない時代が来る。
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