2024.03.25 00:27テレビが生き残るために その1 テレビ局がAIでネイティブCMをつくる視聴率が落ちていく一方のテレビ、ベムはテレビからデジタルにCM枠が移行していくことでの最大の懸念は、「CMの受容性」であると考える。テレビCMは何十年もかけて視聴者とテレビ局とでの「和解」を形成してきたと思う。例えば、「視聴質データ」を見ると一社提供番組では番組からCMへ移行しても画面注視率が落ちないことが分かる。テレビCMはネイティブとまではいかないが、現状のデジタル広告と比べるとはるかに視聴者の受容性が高い。 インプレッションという単位を、JIAAとWeb研の共同作業の用語定義(用語集)で決めたのはベムだが、このインプレッションにも質がある。そもそもテレビとデジタルとでは視聴態度が違う。テレビはパッシブで、デジタルはアクティブ。当然だがYouTub...
2024.03.03 01:33人をひとりのヒトとして判定することでどこまでマーケティングは機能するか ~ヒトの「カメレオン化」をもっと研究しよう~変に長いタイトルになってしまいましたが、要は「IDにより人を特定することで期待されていたマーケティングは本当に機能しているのか」という話です。個人情報保護の観点で承諾のないまま裏側で紐づけられるのはNGになってしまって、現実論として「無理!」なのに、このような力業かつコストのかかる仕組みを作っても、本当に機能するのか?という議論です。そしてそもそもヒトの多面性というか移り気加減を無視した考え方になっていないかを考えてみようと思います。この発想に至ったのはトレンダーズの「インフルエンスファクター」のSNSによる行動パターンがヒトに帰属しないということがデータではっきりしていることからです。インフルエンスファクターでは、ヒト・モノ軸×ソサイエティ・パーソナ...
2023.11.09 04:48エージェンシーが開発すべきAIとは 拙著「広告ビジネス2030年」には、AIが広告ビジネスのコアであるクリエイティブを直撃すると書きました。 エージェンシーが開発せずとも、アイディアを創出するAIは溢れるように出てきてクライアントも使うことになります。当然これをコンサルが支援することになるでしょう。 下手をすると従来どおりエージェンシーのクリエーターがつくったクリエイティブ対コンサルが支援してクライアントがAIでつくったクリエイティブが競合することもあるでしょう。当初は人間が勝利するでしょうが、すぐに勝てなくなります。時間の問題です。 そこでエージェンシーも「クリエイティブ案の実績をAIに学習させて」と行きたいのですが、そもそも捨て案などは学習させようにも残っていないし、あったとして...
2023.07.20 23:56マクロデータで観るテレビCMとデジタル動画広告市場ベムが2018年に推定したテレビCMとデジタル動画CMのインプレッション数を年代別にしたグラフですが、DACの協力で2023年版ができました。DAC砂田くんありがとうございました。 これをみると、テレビCMのインプレッションは4%強減少している一方、デジタル動画広告は40%増加しています。どちらも推定値なので(特にデジタル動画広告のインプレッション数は算出が難しいので) 数字は4週間の関東地区のインプレッション数で推定しています。 ベムも実際にはデジタルはもっと増えている、ないし2018年推定値はもっと少ないのではと感じます。2018年から2023年であればデジタル動画広告は何倍にもなっていておかしくないにでは?と・・・。そこはなにせ推定値なのでご容赦...
2023.07.09 11:03コネクテッドTV広告の定義とCMの受容性 ~CM打つほどマイナス効果~本当に久しぶりの投稿になってしまいました。今日から3つのテーマで投稿します。① コネクテッドTV広告の定義とCMの受容性 ~CM投下のマイナス効果~② マクロデータとしてのTVCM/デジタル動画広告③ リテールメディアこそTVCMとのオーバーラップを狙え! ~メーカーのTVCMに商圏内広告配信を重ねよ~今日は第一回で① コネクテッドTV広告の定義とCMの受容性~CM打つほどマイナス効果~ コネクテッドTV広告の定義に関してベムは世間より狭義に考えている。つまり、・広告を挿入するコンテンツはプロの制作するものであること・CM挿入は視聴者と和解できる手法であること・スマホやPCとは違い複数人の視聴を考慮すること まず、ベムはUGCとプロ制作のコンテンツを区...
2023.01.05 23:452023年広告マーケティング業界7つの予測① 大手広告代理店が買収される可能性大2022年は広告代理店業界にとっては業績云々よりも、世間の厳しい目に晒された年になってしまいました。ベムの出身母体などは頭を取られてしまうという悲惨な事態になりました。はっきり言って別段悪いことをしている意識はあまりなかったでしょう。今までもやってきたことですから・・・。さて、今年は大手広告代理店も買収されるかもしれません。では「買うに値する」ものとは何かというと、仕入先の口座です。メディア各社との取り扱い実績が買収する側にとっての価値です。デジタルメディアだけでなく、マスメディア、プロモーションメディア全般を仕入れる機能が欲しいところというと、例えばアクセンチュアですね。もちろん、買収価額が折り合うかどうかでしょ...
2022.07.04 12:49「双六型」より「ビンゴ型」に現実味があるコミュニケーション設計カスタマージャーニーなる概念については、私は少なからず疑問というか現実感に乏しいと以前から思っている。新製品であれば認知から始めて購買意志決定までステップを描いてみるのはアリだと思うが、多くの既に市場にある商品となると、希薄であっても、店頭やメディアから何らかのブランド情報には接触していることになる。改めて振り出しから順を追ってコミュニケーションを設計することが適切なのかを考えてみたいと思う。みんなとにかく一度振り出しに戻して再スタートし、全員同じステップを踏むコミュニケーションの設計がどうもしっくり来ないのだ。 そもそもフローを描いて順を追ったコミュニケーションプランをつくっても、ほとんどの消費者に順番にコミュニケーションすることは無理である。デジタ...
2022.02.11 09:59クッキーレス時代を代替技術で考えるのは間違いベムがクッキーなる技術と向き合ったのは1996年、インフォシークの広告配信技術の説明を受けた時だ。クッキーみたいにポロポロと落ちて行った先まで追跡できるからという俗語と教わった。それから四半世紀以上、クッキーの権化だったグーグルもプライバシーにかかわるトレンドから、クッキーの代替技術を提唱している。いろんなカンファレンスでも「クッキーレス時代にどうする」というテーマで喧しい。 しかし、本質は代替技術をどうするという話ではない。個人情報を扱う企業の振舞いが試されている。プライバシー対応に対する企業姿勢の問題で、経営者が宣言することであって、情シスなり法務が都度その時点のガイドラインに対応すればいいということではない。 ベムはSDGsの18番目に個人情報に...
2022.02.08 07:53「成功事例は参考になるか」事業会社からDXの成功事例をよく聞かれる。またエージェンシーを含むマーケティング支援事業者からも、データを活用したマーケティング活動の成功事例は?などという質問がよく来る。もちろん成功事例は情報として価値がある。参考にもなる。ただ成功事例だけ欲しがる傾向には問題がある。まず成功したという評価をするにはまだ早い事例が多い。またそれぞれの企業の個別の状況や課題がある中で、よその事例をそのまま参考にできるかは微妙である。そして、これが最大の理由だが、実は失敗例の中にこそ参考になる要素が多いということだ。だが特に失敗例は世の中に出て来ない。そうそう失敗を公表する企業もないし、大概本当は失敗なのに責任者の保身のために成功を装うことが多い。さらに失敗の原因をしっか...
2022.01.31 01:252022年広告マーケティング業界予測 ver.2 その1:コネクテッドTVの定義と認識宣伝会議さんに掲載していただいた同投稿ですが別バージョンをベムに載せようと思います。7つの予測は、・コネクテッドTVの定義と認識 ~放送枠とどう組み合わせるのか~・メタバースでのブランド体験実験急進・広告ビジネスへのAI本格利用元年に・企業のデータ保有リスク顕在化・SNS分析からインサイト発見とコミュニケーション設計するスタイル確立・宣伝部のDX実践始まる・エージェンシーのD2Cブランドスタートアップへの出資 でした。 コネクテッドTVに関しては、大型のTV画面にどんどんネット結線によるコンテンツ視聴が増えてくるのですが、やはり広告主が安心してCMを出せるコンテンツでのTV画面視聴を基本に考えるべきではないかと思います。 ネットにはUGC(なんかもう古...
2022.01.28 07:40ベム再開! 2008年に始めた『業界人間ベム』は、2020年1月で閉じることにしたのですが、25か月経って再開することにしました。 有難いことに「コンテンツはアーカイブしておいて欲しい」とのご要望もいただいて、今となってはそう価値のあるものはないのですが、どうせアーカイブするならとブログを引っ越して、新たなコンテンツも書くことにしました。 『業界人間ベムReload』では引き続き、広告及びマーケティング支援産業を俯瞰して、そこに起こる変化の方向性から身に着けるべきスキルや人財、組織の在り方を探っていければと思います。 先週宣伝会議さんに「2022年広告マーケティング業界予測」を掲載していただきましたが、ページ数も限りがあったので、これもロングバージョンを次回掲載...
2020.01.06 02:00ベム最後の投稿 2020年代広告業界7つの予測①企業の姿勢が問われる個人情報扱い~経営マターとしてのデータ取り扱いポリシーとファーストパーティデータの同意取り直し~ 前回のエントリーで書いたように、今年1月1日からCCPAの施行される。CCPA(カルフォルニア州消費者プライバシー法)は、Cookieや位置情報に代表される「許可なき追跡」に対して消費者に主に5つの権利を与えている。まず、消費者はデータを取得している事業者に「わたし」のどんな情報を持っていて、どこから集めたのかを聞ける権利を有する。そして、それを過去12か月分どんなデータかを知る権利がある。また、それらを確認したら「消去しておいてくれ」と命令できる権利がある。同時に「わたしのデータを他社に売ってはいけない」と命令できる。ついでにデータ...