大統領選挙にみるアメリカの民主主義



 オハイオで3位に甘んじたヒラリー・クリントンだったが、ニューハンプシャーでは何とか勝利した。
何だか民主党の大統領候補がそのまま大統領になるような報道のされ方だ。それだけブッシュ政権への失望が大きいのか。
 民主、共和両党の大統領候補を選出する、この党員集会や予備選挙というのも非常に面白い。ニューハンプシャーに至っては、無党派でも共和党支持者でも、民主党の大統領候補予備選挙に参加できるという。なるほど2大政党以外が大きくなれない構造がこういうところにあるようだ。また州によって制度がかなり違うところが日本人には感覚的に理解しづらいところがある。
 しかし、こういう国民的な議論の機会を得て、小学校でもディベートの材料になり、長い選挙期間は国民が政策やリーダーの資質を議論し合うチャンスとなる。その意味ではしっかりした(自らの手で勝ち取った)民主主義が根付いているように思う。

また大統領選挙は高度なPR戦略が駆使されるメディア戦だ。欧米ではPR(パブリックリレーション)は広告(アドバタイジング)よりレベルの高い仕事として認識されていて報酬や社会的評価が高い。そして選挙へのインターネットの影響力は4年ごとに格段に増している。

ところで、長く健全な政権交代のない日本から見るとある意味うらやましい2大政党制はずいぶん昔から確立されている。
 初代ジョージ・ワシントンと2代目ジョン・アダムスはフェデラリストと呼ばれた連邦政府派だが、(Federalist Partyというからこれも政党ではあるのだろう。)3代目トマス・ジェファーソンは民主共和党の党人だ。この後ホイッグ党と民主党の時代が続き、17代アンドリュー・ジョンソンはユニオン党という政党で(労働党みたいな感じかな?)この後はずっと共和党と民主党が政権を分け合っている。
 共和党になってから最初の大統領はエイブラハム・リンカーンである。リンカーン以降は、共和党が17人、民主党が7人だ。現代史においては共和党の方に分がある。

 民主共和両党の対日政策に関しては、クリントン政権時代のジャパンパッシングの経験などから、日本人はどうやら共和党政権の方が親日的であることに気づいた。(ただアメリカはいずれにしても自国の国益を最優先に考えている。その方法論において対日政策の位置づけが違うだけだろうが。)
 また一見民主党の方がハト派の印象をもつ人がいるかもしれないが、太平洋戦争開戦時のフランクリン・ルーズベルト、原爆を落としたトルーマン、ベトナムで北爆を開始したリンドン・ジョンソンなど意外と民主党大統領のほうが戦争に関わってきた。

 とにかく、各党の予備選挙に党員でもない無党派が自在に参加できる州もあることを不勉強な私は今回知った。総選挙をしないでも次々首相が代わる日本から見ると、直接国のリーダーを選ぶことでの政治意識が国民に幅広くあっていいんだろうと思う。