「買う理由」を探すWebサイト


 AISASという購買意志形成モデルが提唱されて久しいが、ひとつめのS「検索」行動は、意外に多様で多層的ではないかと思うことがある。関心が顕在化して能動的に情報取得を行なうのは、心理的には「自分なりの納得感を得たい」というものがある。その意味で。企業のブランドサイトには、そもそも買う意志がある人が「買う理由」を見つけに来るという行動が前提にあると思う。自分自身に対して、自分を納得させられるだけの「買う理由」を見つけたいという心理がある。
 ところが、企業サイトには、売る側の理由が展開されていることが多い。「売る理由」と「買う理由」のミスマッチがおきる場合は非常に多く、そういう意味で消費者サイドに徹底的に立ったサイトのコンテンツづくりが基本スタンスである。


 企業のWebサイトコンテンツづくりは、最終的にはブランドの体験価値が伝わることを目的に、あくまで消費者サイドに立ったコンテンツづくりが必要だ。そのためにも、特定のターゲット層の考え方や関心の方向を理解している雑誌編集者などのコンテンツ開発者の参画を期待する。
 事実、大企業のサイトは、メディアとしては大概の雑誌よりはるかに規模(リーチ)が大きい。ここを場として、編集者のスキルを展開するほうが、実売1~2万の雑誌をつくるよりコンテンツの消費者にとっても、開発者にとっても意味があるのではないかと思う。