今年も新入社員研修の季節だ。毎年複数コマやっているのだが、広告実務を座学で教えることが実にたいへんだということが、実際講師をやってみて分かる。
それだけ、広告ビジネスは広範囲の知見を要するし、一方で特段の専門性もまた必要となる。
最近ではネット広告ビジネスだけでも広範囲になってきた。どう順序立てて教えるのが良いかなど結構難しいものがある。テキストをつくることに至ってはまさに体系化(骨格づくり)であり、日々進化し情報更新するネット広告の世界では難しい作業だ。インターネット広告推進協議会の研修本「インターネット広告の基本実務」は初版のベースの部分をほとんど私が書いたのだが、初めての教科書でもあり、結構たいへんだった。書いてあること自体は大して難しくないが、何を書いて、何を書かないかは全体像を把握して、どこが骨格かしっかり理解しないとできない。
私が教えるのは、とりあえずはネット専門の実務就業に入る新卒メンバーなのだが、逆に広告ビジネス全般を広範囲に抑えることにしている。(例えばテレビスポットの作案まで)自分がこれからする業務が、広告ビジネス全体のどこに位置しているかを知ることは大事だ。
また、これが重要なのだが、情報更新の早いインタラクティブ広告ビジネスの世界では、トレーナーとなる人材育成がたいへん重要だ。すぐに人に教えることができる人材づくりである。スキルトランスファーが有効に機能する組織とそうでない組織では雲泥の差となる。インタラクティブやクロスコミュニケーション分野では、トレーナーとトレーニーのバランスが悪い。トレーナーづくりは企業の重要な戦略であり、新人教育からしっかり体系的にインプットして、すぐに人に教えることができる人材づくりを意識しなければならない。こうしたスピード感は昔の代理店とはぜんぜん違う。
自分があまり人に教わった経験がないからとか、10数年修行したからと云った昔の経験値はこの際、邪魔なだけだと思う。
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