未だ発展途上の日本のネットマーケティング


 ネットマーケティングにおいて本当の最適化を実践できている企業は日本ではまだまだ少ない。

 問題点はふたつあって、ひとつはコンバージョンを上げるサイトづくりのノウハウがまだ未発達であること。もうひとつは見込み客の集客(流入)戦略に、クリエイティブのパフォーマンスを上げる仕組みをいまだ持ち込めないことにある。

 ひとつめのコンバージョンを上げるサイトづくりということに関しては、まだそもそも見込み客にアクセスしてもらうマーケティングWebサイトというものに関する基本的な考え方が理解されていないことが多い。

 企業Webサイトには見込み客が「買う理由」を求めてアクセスしてくれる。一方通行のマス広告には「売る理由」を凝縮したメッセージを載せて送り込んできたが、Webサイトは、ユーザー一人ひとりの「買う理由」にすべて応えられるようにつくらなければならない。(またそれができるのがインタラクティブな装置であるWebサイトである。)
 ところが、多くの企業サイトには売る側にしか通じない用語が目につく。この発想の転換がまず出発点である。マーケティングメッセージの受け手の立場になって、見込み客が興味関心を顕在化させて、自ら購買情報を求めてくる行動に対応するマーケティング活動をもっと丁寧に(徹底して研究して、お金をかけて)するべきである。
 例えば会員獲得など入力フォームをもった企業のマーケティングWebサイトでは、情報入力のユーザビリティを良くすることで、コンバージョン率を上げることができる。というより、多くのサイトがストレスのない入力フォームをつくろうとする努力の跡があまり見受けられない。当然、入力するユーザーの立場になれば、改善すべきところがたくさんある。
 獲得型のマーケティングを展開していて、集客流入のためのネット広告、リスティング、アフィリエイトを駆使しているわりには、最終段階の顧客化作業で詰めが甘いことが多い。例えば流入策に1億円使っている企業は、流入後のサイト改善でコンバージョン率を20%上げることに成功すると、2000万円の広告支出効果を得られる。広告支出の多いマーケターほどよりコンバージョン向上にコストを使うべきだ。というより、同じ金額を使うのであれば、より顧客化直前に使うべきである。
 (まだ購買行動をとってくれるかどうか分からない人と、今購買しようと入力している人を同じレベルで扱ってはいけない。せっかく買おうと購買購買を起こしてくれている有難いお客様が入力のストレスかた脱落することをもっとクリティカルに考えて対処すべきだ。脱落の多いサイトを運営している企業は、流入にコストを裂いている場合ではない。)

 
 
 もうひとつの問題は、流入を獲得するためのネット広告のパフォーマンスを、広告スペースベースでしか測っていない点である。しかもクリックベースでポストインプレッション効果を測定していないことが大半である。(つまり集客効果の半分しか測定していない。)
実は日本のネット広告のCPMはアメリカの1/2~1/3程度にまで下がってしまった。その原因はネット広告のパフォーマンスを広告スペースにばかり負わせていて、クリエイティブによってパフォーマンスを上げようとする試みがほとんどなされないことと、集客効果をクリックベースでしか測ろうとしないことによる。
日本のネットマーケティングは、集客に偏重して、流入後のパフォーマンス管理不足であること、その集客もスペース選び、しかもクリックベースオンリーと、あまりに単純化が進んでしまったことで、おそらく顧客獲得効率は落ちているのでないだろうか。

 この発展途上状態を打開するには、ひとつに仕組みとして多様なクリエイティブを開発する装置(広告会社の体制やシステム)と第三者配信サーバーが市民権を得ることが必要だ。

 この話の詳細はまた別途・・・。