ネット広告におけるクリエイティブのパフォーマンス


前々回のエントリーで、日本のネットマーケティングが未だ発展途上とした。その要因のひとつは、見込み客流入策に広告スペースのパフォーマンスしか見ないで、クリエイティブのパフォーマンスを活用していないことと定義した。(もうひとつはクリックベースしか測定しないで、ポストインプレッション効果を全く評価しないこと。)

あるブログに「クリエイティブは指標化しづらい」という内容が書かれていたので、私の見解を書くことにする。

クリエイティブのパフォーマンスは、広告レスポンスとして表れる。リスティングでキーワードごとの広告コピーを考えるように、ディスプレイ広告においてもコンテキスト(文脈)と表現における様々な要素に分解して、受け手が反応するエレメントを幅広く用意する。それらを実際に配信する。そして広告レスポンスの良いクリエイティブを良いクリエイティブとして、反応の良いクリエイティブに寄せて最適化を図る。クリエイティブのパフォーマンスの評価はただひとつ。「広告レスポンス」が高いかどうかだ。

従来の送り手主導の広告表現開発では、実際に広告を投下、露出する以前に評価をする。つまり送り手がいいか悪いかを評価する。当たり前だが、いろんな素材をつくる訳にはいかないからだ。
送り手主導で、生活者のアウェアネスを獲得するのは目的であればそれで良いが、生活者のレリバンシー(自分に関係があるものと意識させる)を得るには、(または興味関心が顕在化している人の背中を押す表現は)ひとつのメッセージ、コンテキスト、表現では対応できないのだと思う。

そのためには、広範囲のアプローチで、多様な表現を開発する装置が要る。
今バナーを量産しようとすると、プロダクションに発注する訳だが、おそらくこの作業に関わるのは一人か二人だ。ひとりで100種類つくるのと、100人が1種類づつつくるのでは、表現の幅は圧倒的に後者の方が広い。
ネットワークを駆使して、高いパフォーマンスを得たクリエイティブをつくったクリエーターに、その分のフィーが渡る仕組みが必要なのだと思う。

それに近い仕組みが、いろんなところで始まっているようだ。実は業界人間もこの仕組みの開発に参画しようと思っている。