行動ターゲティング広告市場


 eMarketerの発表した米国行動ターゲティング市場予測は、今年2010年が、前年比21.6%増の11億2500万ドルだ。これは、ディスプレイ広告市場全体の14.2%に相当する。また2014年には26億ドルに成長し、ディスプレイ広告全体の19.8%になるとしている。
 さて、日本の行動ターゲティングはしっかりカウントされていないが、2009年で200億円くらいではないかと思う。日本でも成長性は極めて高い。マイクロアドさんが行動ターゲティング広告の市場予測を出しているが、それによると2012年には505億円となっている。さすがにネット広告も成長が鈍化しているが、行動ターゲティングが一番成長率が高い分野であろう。ただ日本における行動ターゲティングがさらに成長するには、いくつかの課題がある。そもそも行動ターゲティングは広告を配信するブラウザを特定するターゲティング技術であって、掲載面にこだわるものではない。ただターゲティングする技術にはまだまだ進化する余地がある。今は単純に「○○」と検索したブラウザとか、こういうカテゴリーのコンテンツのページのURLの閲読履歴があると言った、人による単純連想の域を出ない。もっと画期的なターゲティング技術による「次世代行動ターゲティング」が確立されないといけない。
 もうひとつは、広告バイイングサイドが主導する広告配信がもっと定着することだ。リターゲティングも対象ブラウザの出現率がもっと高くならないと市場にならないから、巨大なリーチの掲載面ネットワークが必要だ。
 また、過去の行動によって、配信対象ブラウザを特定するだけでなく、未来の行動に配信予約をする仕組みが必要である。
 行動ターゲティングは技術としては確立しているが、そのポテンシャルを十分発揮できる環境がまだ揃っていない。
 日本でも、リスティング市場を補完、共存し、さらにその表現力を増すことで、ディスプレイ広告内シェアをどんどんあげるだろう。
 ターゲティングしているのだから、単価が上がっても、より表現力、クリエイティブ力を上げることで、さらに広告効果を上げたいということになる。
 リスティング市場からリッチメディア、動画広告市場をオーバーラップして成長する素地はある。
 そのためのビジネス環境整備をしっかりやっていくことが求められている。