2018.05.29 03:32エージェンシーの終焉を招く機能の空洞化とスキルの陳腐化 総合代理店という呼び方は昔からあったが、近年ネット専業との対比でより使われるようになったかと思う。エージェンシーの危機、まずは総合系代理店(とは言っても実態はアナログ代理店という意味になってしまうが)について言及する。総合系代理店も長年口座のあるクライアントに対しては、当然のようにデジタルビジネスも取り込まなければならない。従来から基本的に要請のある仕事があれば、電博以外の総合力のない代理店は、自社内にスタッフ機能がなくても、外部協力会社が十分機能してくれて対応してきた。 しかし、デジタル関連になると、もちろん外部にメディアレップなどの外注先があるので、まったく対応できない訳ではないが、そもそもプランニング機能、ディレクション機能もないまま外注して...
2018.05.15 02:18WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<後編>■WPPやOmnicomの誕生と日本市場との意外な関係 WPPやOmnicomは誕生当初に、日本の89年バブル景気が大きく寄与している背景がある。彼らの現在を支えているのは、実は日本の資産だったかもしれない。ソレル氏の辞任は、現在の景気の波を考えるための大きなキッカケを示唆している。「広告会社のコングロマリット」が誕生は、WPP(1985年)とOmnicom(1986年)が登場したことが起点と考えられている。ソレル氏はWPPを1985年に買収し、「地味な」Below-the-lineの小ぶりの会社を2年間に英国で15社、北米で3社を買収した小さなスタートをしている。 これに対してOmnicomはその翌年86年に巨大合併によって強烈な垂直立ち上がりを見せ...
2018.05.10 02:19WPPマーティン・ソレルCEOの辞任 コングロマリット経営の成り立ちとこれから<前編>この話題もベムで触れない訳にはいかないだろう。読者の皆さんお待たせしました(笑)。なんとも謎だらけのままWPPのSir Martin Sorrell (73歳)がCEOを辞任するという、筆者個人としては残念なアナウンスが4月14日の週末土曜日に業界を駆け巡った。 このソレル氏の辞任に対する現在までの状況のおさらいと、WPPやOmnicom、等の「コングロマリット」としての意外な成り立ちについて紹介しつつ、今後の広告やマーケティング・コングロマリット行き先に触れてみたい。これらをまとめて語れるのも業界ベムならでは、の特集だ。■ソレル氏のAmazon級の成長軌跡 ソレル氏は1975年に英国の「Saatchi and Saatchi」社の初のファイナンシャル...