2008.10.28 22:46次世代広告マンの資質 その1 上書き保存能力 長年広告業界の人間を(自らを含め)ずっと眺めてきた私から見ると、今のネット広告系人材が極めて優れているのは、情報の「上書き保存能力」だと思う。 ネットの世界は、確立して久しいマス広告に比べると、はるかに多く新しい情報が発生する。しかも古い情報を改訂しなければならないことが多い。日々多くのビジネスに関わる情報が飛び交うなかで、情報を上書きしてアップデートすることが非常に大切だ。 ネット広告の関係者にはブロガーが多いが、ブログは情報のアップデートにたいへん役立つ。しかも誰しもがその情報更新力を享受できる。 ひと時代前なら、ブログを毎日書いているような人はいわゆるオタクで、仕事はできないと相場は決まっていた。が、今は違う。継続的にこうした作業をできる人...
2008.10.27 16:34四半世紀前のコンピュータ業界に見る広告会社の行方 コンピュータがいわゆるメインフレームから徐々にダウンサイジングをし始めた時、当時、主だったコンピュータ会社は、「あんなものは玩具みたいなもの」と云って、金額が大きい大型コンピュータを売りつづけた。その間に、ワークステーションなどの小型コンピュータを扱うサンマイクロシステムなどの新しいプレイヤーが参入し、その後コンピュータの世界を席巻する。メインフレームシステムでのプログラム言語で育った人たちは、PCそしてITプロトコル、Webという流れに対応できない恐竜としてほぼ絶滅に近い。 今、広告業界でも同じことが起きている。マス広告を売ることに収斂した職能は、新たな競合勢力に漬け込ませる余地を与えてしまった。そしてなお、サービス領域は周辺領域に広がっている。次...
2008.10.27 01:53インターネット媒体は個別のビークルなのか。 いつも思うのだが、ネット媒体(ヤフーやMSN・・・)を雑誌や新聞のビークル(朝日新聞や週刊ポスト・・・)と同等にビークルとして考えている人が多いが、実態はかなり違う。雑誌は、そのビークルと読者が常に紐付く。ビークルを選ぶことは限りなくユーザーを選ぶことだ。しかしネットでは、掲載面単位で管理することには意味があるが、ビークル単位で管理する意味はあまりない。ヤフーに掲載することに意味があるのではなく、ヤフーの○○という掲載面ないし広告メニューに意味がある。ユーザーから見れば一連のセッションのひとつであり、閲覧しているURLに意味はあるが、送り手がサイトとして括っているURLの集合体には取り立てて意味はない。そこはプリント媒体と違う。はるかにテレビ、ラジオ...
2008.10.26 18:07ターゲティングの本質 「行動ターゲティング」に注目が集まっている。またその議論も、ユーザー側から見ると、そんなに特定の対象者に限定されてくるのはいかがなものかという議論が結構ある。 私の見解から云うと、行動ターゲティングなどが目指しているのは、単純に配信対象を絞り込むことばかりではない。もちろんバイイングサイドは、広告のROIを最適化したい。その意味で無駄な投下は極力避けたい。ただ「アウェアネス→レリバンシー→購入意向→購入」というプロセスがあるとして、どこに一番作用するコミュニケーションをしたいのかは、商品カテゴリーやブランドによって違うので、購買行動寸前に投下対象を限定したいブランドもあれば、アウェアネス獲得のコミュニケーションと、レリバンシー醸成のコミュニケーション...
2008.10.22 00:52「広告レスポンス」とは前々回エントリーに過激に、「クリエイティブのパフォーマンスはすべて広告レスポンスによって測られるべきだ。」と書いたので、もう少し説明しようと思う。では、「広告レスポンスとは何か」だが、もちろんCTRとかVTRとかだけで考えようと云っている訳ではない。 キーファクターはマーケティングの時間軸をどう設定するかだが、ブランディングコミュニケーションも含め、最終的にはROI管理されるのが当然の時代になるということだ。よって、ブランディングコミュニケーションも含め、ROIに貢献した結果を「広告レスポンス」と考えている。そして、そこに一番影響力をもつのがクリエイティブだということだ。最初のアプローチは、短期的なレスポンスのROI管理になるのはある意味いたしかかない...
2008.10.20 18:28ネット広告のクリエイティブとポストインプレッション テレビCMのクリエイティブは実にハイエンドなクリエイティブである。で、これをそのままネット広告のクリエイティブに応用するとなるとどこかやはり借りてきた感が強い。 テレビ広告が、送り手主導&アウェアネス獲得を基本とするのに対して、ネットはどちらかと云うと、受け手主導&レリバンシー醸成という感じだろうか。そうなると表現のクオリティもプロがつくるハイエンドなものでなければならないということはない。この辺は随分語られている話だと思うが、プロ仕様を敢てしない考え方がある。「広告表現はアマチュアの時代」になるかもしれない。 随分昔、ネットでインセンティブキャンペーンをやると、不思議に「外車が当たる!」より「図書券5000円」の方が応募が多かったりすると云われたこ...
2008.10.17 20:05ネット広告におけるクリエイティブのパフォーマンス前々回のエントリーで、日本のネットマーケティングが未だ発展途上とした。その要因のひとつは、見込み客流入策に広告スペースのパフォーマンスしか見ないで、クリエイティブのパフォーマンスを活用していないことと定義した。(もうひとつはクリックベースしか測定しないで、ポストインプレッション効果を全く評価しないこと。)あるブログに「クリエイティブは指標化しづらい」という内容が書かれていたので、私の見解を書くことにする。クリエイティブのパフォーマンスは、広告レスポンスとして表れる。リスティングでキーワードごとの広告コピーを考えるように、ディスプレイ広告においてもコンテキスト(文脈)と表現における様々な要素に分解して、受け手が反応するエレメントを幅広く用意する。それらを...
2008.10.13 03:06第三者配信サーバー(バイイングサイドアドサーバー)を考える。この前のエントリーにトラックバックしてくれた方の文章を読んだ。たいへん評価していただいて恐縮だ。しかし第三者配信サーバーを基本トラッキング(効果測定)システムというように理解されている部分があったが、その理解はちょっと違うかもしれない。「第三者配信サーバー」は別名「バイイングサイドサーバー」と呼ばれる。つまり広告主が使うシステムであって、媒体社が使うものと区別される。アドサーバーとしては技術的には同じだが、使用者がバイイングサイドかセリングサイドかで役割が違ってくる。 結論から云うと、第三者配信サーバーとは、広告主(バイイングサイド)にとって最適な広告クリエイティブを最適なプレイスメントに最適なタイミングで配信するもの(オプティマイザー)である。決し...
2008.10.11 23:18未だ発展途上の日本のネットマーケティング ネットマーケティングにおいて本当の最適化を実践できている企業は日本ではまだまだ少ない。 問題点はふたつあって、ひとつはコンバージョンを上げるサイトづくりのノウハウがまだ未発達であること。もうひとつは見込み客の集客(流入)戦略に、クリエイティブのパフォーマンスを上げる仕組みをいまだ持ち込めないことにある。 ひとつめのコンバージョンを上げるサイトづくりということに関しては、まだそもそも見込み客にアクセスしてもらうマーケティングWebサイトというものに関する基本的な考え方が理解されていないことが多い。 企業Webサイトには見込み客が「買う理由」を求めてアクセスしてくれる。一方通行のマス広告には「売る理由」を凝縮したメッセージを載せて送り込んできたが、Web...