2008.01.30 22:14コンテンツの送り手としてのプライド 従来のメディアの文化で育ってきた人たちからすると、編集権が受け手側にあるようなネットメディア文化は、受け入れ難いのかもしれない。しかし世の中は確実に、従来のメディアの送り手に大きな変化を要求してくる。 例えば新聞は、ある意味「どの記事を何段抜きで扱うか」、「見出しをどう打つか」が新聞が新聞たる所以である。それが、記事タイトルが並列され、興味があるものがクリックされる。記事の需要はみごとにはっきりする。今までの感覚からすれば、ネットでどんな記事が読みたいか、どんなストーリーのドラマが見たいかをその都度ユーザーにたずねて成立するメディアというのは考えられなかった。しかし、実際にそうした試みは始まっている。 情報の消費者(受け手)が主導するコミュニケーショ...
2008.01.29 22:53「The end of Advertising as we know it」を読む。 その4 IBMのレポートで広告に関わる4つの変化、4つめは「広告インベントリー」、つまり広告枠在庫について・・・。アドバタイジングインベントリー(広告枠) 訳 『囲い込まれていた広告枠は現在オープンになってきている。スペースを利用可能にすることによって、効率的な差し替えを行っている。結果として半分以上の広告の専門家が、今後5年以内にオープンプラットフォームが30パーセントの広告収入を既存の放送局などから取ると予測している。』 グーグルが実現したアドマーケットプレイスは、従来なかったロングテイルの広告需要を顕在化させた。リスティング広告から、動画を含めたネット広告、ラジオ広告枠、新聞雑誌、ケーブルTVと広告スペースがマーケットプレイスで受発注されていく傾向は、...
2008.01.29 22:39それって「クロスメディア」? 私ベムが「クロスメディア」というワードを始めて耳にしたのは、米国のインターネット広告協議会(IAB)(現在はインタラクティブ広告協議会)が2000年から始めたXMOS(クロスメディア・オプティマイゼーション・スタディ)の時である。(既に90年代からアメリカでは使われえていたワードだ。) これは基本的に「マスキャンペーンにネット広告をどの程度配分すると、目標とするマーケティング指標を最適化できるか」というコスト配分の最適化というもので、この調査で得たデータは、ブランドのベンチマークとして活用が可能だ。 しかし現在日本で「クロスメディア」と呼ばれているものなかには、最初からメディア(器)ありきのプランがずいぶんある。最初から商品パッケージのようになってい...
2008.01.29 17:12Yahoo! JAPANのIDが、OpenIDに対応したことYahoo! JAPANのIDがOpenIDに対応しました。OpenIDは、サイトを越えて使用できる「認証システム」で、OpenIDに対応しているサイトならば、どのサイトでも、ひとつのIDでログインできる仕組みです。この「業界人間ベム」も含め、最近では、OpenIDに対応しているブログも増えてきました。今までもYahoo! JAPANのIDを使ってログイン可能なサイトはいくつかありましたが、公式にOpenIDに対応することによって、OpenIDに対応しているサイトならどのサイトでもYahoo! JAPANのIDを使ってログインすることができます。世の中様々なサービスがありますが、IDやPasswordの管理というのは結構面倒で、同じIDが取得できれば問...
2008.01.28 22:29広告会社にとってのテクノロジー 「アドテクノロジー」とはいったいどういうものか、その実態が認識できているマネージメント層はトラディショナルな広告会社にはほとんどいないように思う。 テクノロジーといってもナノテクノロジーとかではないので、基本IT、特にインターネットの配信技術や、ブラウザをユーザーインターフェイスにしたオペレーション技術である。従来ネット広告をはじめとするアドサーバー技術など、主にメディアやアドネットワークを運営するメディアレップが駆使するものなので、日本ではエージェンシーが自らアドテクノロジーを使うという意識が今まであまりなかった。しかし欧米ではクライアントがアドテクノロジーを使う。当然エージェンシーがしっかり使えなければクライアントサービスができない。その実態を知...
2008.01.28 18:55「The end of Advertising as we know it」を読む。 その3 IBMのレポート「我々の知っている広告の終わり」ので、広告のビジネス環境にかかわる4つの変化として取り上げられている「アテンション」、「クリエイティビティ」、「メジャーメント」、「広告インベントリー」。今日は「メジャーメント」の部分だ。 訳 『広告会社はより個人を特定した、インボルブメント(自己関与)ベースのメジャーメントを要求され、既存のマスマーケットモデルは脅かされる。3分の2の広告の専門家が20パーセントの広告収入を3年以内にインプレッションベースの広告からインパクトベースの広告フォーマットに移すことを予測している。』 「エンゲージメント」という概念が提示されてきたが、もう単純な広告接触ベースの評価しかできないメディアは使わないという状況になり...
2008.01.27 22:29「The end of Advertising as we know it」を読む。 その2 IBMのレポート「我々の知っている広告の終わり」の前段で、広告のビジネス環境にかかわる4つの変化として取り上げられている「アテンション」、「クリエイティビティ」、「メジャーメント」、「広告インベントリー」のうち、今回は「クリエイティビティ」の部分を訳して解説してみる。 『テクノロジーの進歩のおかげで、ユーザージェネレイティッドコンテンツなどの人気が上昇している。そして、アマチュアやセミプロフェッショナルにより低価格な広告コンテンツが作り出されている。調査によるとこのトレンドはこのまま続くと見られている。さらに従来のプレイヤーである出版社や放送局は従来のエージェンシーの機能の役割をとると共に、クリエイティブな役割の幅を広げている。』 この部分で云って...
2008.01.27 22:25「ソフトとコンテンツ」 最近は、「コンテンツ」というワードがどこへ行っても聴かれるようになった。(かく云う私ベムも連呼している。)従来「ソフト」と呼んでいた概念のなかでも、もともと特定の器(メディア)があって、そこに入れる「内容」というニュアンスが強いのが「コンテンツ」という言い方だ。 番組など制作サイドでは、自分たちの造っているのは「ソフト」であるということをいう人が結構いる。「ソフト」と「コンテンツ」。確かに何故「ソフト」といわずにわざわざ「コンテンツ」というようになったかを考えてみると、メディアが多様化して、いろいろなビークルが出現したが、皆中身に乏しい状況を踏まえて、「コンテンツが足りない」という状況を反映し、普及したワードかと思う。 また、「ソフト」の反対語が「ハ...
2008.01.27 22:10「The end of Advertising as we know it」を読む。 その1 昨年IBMが2400人以上の消費者と80人以上の広告の専門家を対象とする国際調査を行なって出したレポート「The End of Advertising we know it」はじっくり読めば読むほど内容がある。広告ビジネスが極めて近い将来直面する環境が理解できるたいへん重要なドキュメントだ。 まず、広告のビジネス環境にかかわる4つの変化として、「アテンション」、「クリエイティビティ」「メジャーメント」「広告インベントリー」をあげている。「アテンション」の項目では、下記のような変革を指摘している。『消費者は自分たちが見たり、興味をもったりする数多くの広告対してフィルターをかける事などのコントロール可能になってきている。人々は今までのテレビに興味をなくし...
2008.01.27 00:51ピュブリシスのグーグル提携戦略昨年のアドテクノロジーM&A合戦の中で、広告業界内の話でもあり、ダブルクリックやaQuantive に比べれば話題にはならなかったが、ピュブリシスのDIGITAS買収には注目をしていた。つまりピュブリシスグループはメガエージェンシーグループのなかでも特にインタラクティブを戦略的に、成長ドライバーにしようとしている感がある。そこへ今回のグーグルとの「デジタル広告分野での協力を深める」との提携発表である。具体的な情報はまだ分かっていないが、ボードメンバーが相互に出るような話もあるらしい。WPPのサー・マーティン・ソレルがグーグルを称して「フレネミー」と呼んで、「短期的な味方、長期的な敵」としたのに対し、ピュブリシスのレビ会長は「短期的な味方でも長期的な敵で...
2008.01.26 23:18公共性ということ 日本という社会は、本当に長年の官僚支配が進んでいて、役人が自らの利益のために原理原則に馴染まないルールと運用を勝手につくって押し通してきた。 そもそも一番おかしいと思うのが、公共性の高い団体(独法や省庁の外郭団体など)がその財務内容をディスクローズしないことだ。民間企業でさえ、上場すればほとんどの内容を開示する。国民の税金で成立している公共団体は、上場企業より内容の開示義務があるというのが、世の中の原理原則である。しかるに役人だから開示しないことを違法ということにはしない。 また、よく官舎などが相場からすると異常に安い家賃に設定されていることがメディアで取り上げられることがある。誰もコメントしないが、同じことを民間企業がやったら、家賃相場との差額は給...
2008.01.25 22:43グリムの法則 グリム童話で有名なグリム兄弟のお兄さんの方の、ヤーコブ・グリムは言語学者でもあって、「グリムの法則」という言語学上の大発見をしている。 どんな法則かというと・・・インドヨーロッパ語族間の言語において、同じ単語の子音部分が一定の法則で変遷することを見つけているのだ。 例えば、インドヨーロッパ祖語において、有声音の(b、d、g )は古代ギリシャ語では、(p、t、k)の無声音に変化する。またこれがロマンス語では、(f、d、h)となる。具体的にいうと、英語(ゲルマン語)のbrother は 印欧祖語やサンスクリット語では、bhrator で、ギリシャ語では、phrator 、ラテン語では、fero 、というように同じ言葉で先頭の子音部分が一定の法則で変化す...